【十五句抄出】川本美佐子句集『水を買う』
2014年ふらんす堂 『水を買う』は、川本美佐子(1967 - )の第1句集。1999年(平成11年)から2014年(平成26年)までの句を収める。...
View Article「小熊座」2014年10月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2014年10月号から。 特集は日下節子句集『店蔵』と、吉野秀彦句集『子雀』。前者の評を茨木和生、石母田星人、浪山克彦、後者の評を髙柳克弘、野口圭也、我妻民雄が書いている。死後伸びるものに髪・爪・雲の峰 高野ムツオ英霊という名の死霊日かみなり首都大旱深海は鮫あつめ 増田陽一人間に痴呆の次元アンタレス紫陽花にかくるる黄泉の出入口...
View Article「堊」2014年10月号
「堊」(発行:高石直幸)2014年10月号から。田の神のだまつて通る稲の花 高石直幸国東の渓よりひびく鬼会かな 浜﨑芳子(特別作品20句から)日盛りの肋をさらす岩襖 大隈チサ子アトリエの日ざし辛辣夕紅葉 浦みつる *****************************************************Pergolesi - Stabat Mater
View Article【十五句抄出】宇多喜代子句集『円心』
2014年角川学芸出版 8月に出た『宇多喜代子俳句集成』は逆編年順の構成。その最初に「円心」が収録されている。《『記憶』以後、平成二十三年(二〇一一)年から二十六年までの一六八句を収録。単行句集としては未刊行だが、本集成に収め、第七句集とする。》 以下はその「円心」から(小題等は省略)。...
View Article「澤」2014年10月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2014年10月号から。 特集は「葛西省子句集『正体』を読む」で、池田澄子、相子智恵による句集評。滝壺の泡籠めに棲む魚ひとつ 小澤 實庭石を跳びわたるなり跣にて「分別せよ」と紙貼る袋炎天下うそ寒き記事避けんとし避け難き 高橋睦郎(新竪題)熱中症で死ぬのもいいねいだきあふ 磯貝一沙なめくぢの胴に透けあり苔の色除草用レンタル山羊や五ひき放つ...
View Article「都市」2014年10月号
「都市」(発行編集:中西夕紀)2014年10月号から。 新連載、岩松研吉郎「木々雑記」開始。天牛の鳴いて林道細くなる 中西夕紀梨剥きし後われを刺すナイフかもタンポポをことごとく踏み病棟へ 城中 良倦むことに倦みて開きし冷蔵庫 栗山 心夕立やまだ温み持つカレーパン 盛田恵未新涼や女のあくび乳高く 本多...
View Article「麟」第50号(2014年10月)
「麟」(代表:山下知津子、編集:駒木根淳子)第50号(2014年10月)から。 第50号記念の特別寄稿に中嶋鬼谷「西田幾多郎と短詩―悲しみの系譜」。『語る兜太』に付箋のあまた長崎忌 山下知津子月見草の群落に会ふ峠道 染谷佳之子電線の影浮き立たす旱かな 飯野きよ子八月や三百万の死者に母 駒木根淳子主産物なし原発誘致の地の炎暑...
View Article「陸」2014年10月号
「陸」(発行:中村和弘)2014年10月号から。弾痕に紛れていたる守宮かな 中村和弘ダム底に鳥居の見えて盆来たる冷房のくまなくとどくおもちや箱 大類つとむかたつむり鉄条網にひろがれり 大石雄鬼観覧車今てつぺんのかたつむり 木下弘子*****************************************************Tears for Fears -...
View Article「里」2014年10月号
「里」(発行:島田牙城、編集:仲寒蝉)2014年10月号から。アーモンドチョコレート踏む昼の霧 内堀美穂指先に汗かいてゐる碁なりけり 堀下 翔風に色なくて荷風の文庫本 媚庵穭田をゆくしわしわのゴム風船 谷口智行原人の石器の尖る秋の暮 六サルビアの枯れてゐたりもする低さ 上田信治...
View Article「鷹」2014年10月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2014年10月号から。 特集は「鷹創刊五十周年記念大会に参加して―参加者の声」。冷蔵庫闇にひらきて光抱く 小川軽舟新涼は膝寄せてくる妓の如く呼吸難のさ中異形の者踊る 星野石雀自販機が硬貨呑む音西日差す 奥坂まや衰亡の合衆国やトマト喰ふ 髙柳克弘噴水のしぶきと遠き町の灯と 永島靖子うしろから拾つて渡す夏帽子 松浦俊介六本木ヒルズ見えたる展墓かな...
View Article【十五句抄出】望月周句集『白月』
2014年文學の森 『白月』は望月周(1965 - )の第1句集。 望月周は「百鳥」同人。2010年角川俳句賞受賞。『俳コレ』に参加。 序に代えて=大串章。...
View Article「秋草」2014年11月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2014年11月号から。秋の蚊の大理石より冷たきが 山口昭男秋風の袋小路といふところさみしきは万年筆と秋の石 三輪小春菓子パンを一つ鞄に震災忌 橋本石火立秋やピザ焼くけむり高々と 門園須美子綿菓子に顔のかくれる浴衣の子 久下 範*****************************************************OK Go -...
View Article「鏡」第14号(2014年10月)
「鏡」(発行編集:寺澤一雄)第14号(2014年10月)から。 中村裕「遠山陽子小論」掲載。遠山陽子は今年、第5句集『弦響』を上梓している。立葵すでに出口を見てしまふ 羽田野令たましひの至るところに出水かな 遠藤 治フランス積イギリス積や梅雨煉瓦 中村 裕棒立ちの高野ムツオや麦熟星 遠山陽子夏草やジーンズ疲れなる太もも...
View Article「鷹」2014年11月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2014年11月号から。 特集は「記念出版の三冊」で50周年記念に出た『藤田湘子の百句』『飯島晴子の百句』『季語別鷹俳句集』について。玩具より抜きて露けき乾電池 小川軽舟菓子作る棚の洋酒や小鳥来る花眼もて後撰集読む夜寒かな白布巻く牛の太腹在祭 岩永佐保新涼の縁起絵巻の人魚かな 竹岡一郎見てゐたり黴を殺してゐる泡を 髙柳克弘にんげんは海に敗れて踊るなり...
View Article「遊牧」2014年10月号
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2014年10月号から。すれ違う母に似し人竜淵に 下山田禮子秋風やアラビア海の黒真珠 佐々木幸子長持のなかの昏睡鶏頭花 坂間恒子こんなにも月に離れて白蜀葵(はくしょくき) 塩野谷仁ベースマンの指かけのぼる星月夜 柳 恵子四次元のエロスに浮くは赤トンボ...
View Article「らん」No.67(2014年秋)
「らん」(発行・鳴戸奈菜、編集・五十嵐進、西谷裕子、皆川燈)No.67(2014年秋)から。 特集は「詩の原郷へ 永田耕衣/加藤楸邨」。屹立せよ「おう」と応へるどびん割 水天兜虫とも触れ合へるほとけさま 矢田 鏃純潔や真夏のようなオムライス 山口ち加汚染地図の真ん中を行くカタツムリ...
View Article【雑録】この一年の俳句賞各賞
個人的なメモとして、この一年ほどの俳句賞各賞と物故者をわかる範囲で拾った。 俳句関係の賞はネット上にろくに情報がないケースが少なくないので、まだ漏れがあるかもしれない(なお赤字は句集等単行本対象の賞、青字は公募制でも作家性の強いもの)。 各結社内の賞は省略。2013年10月・角川全国俳句大賞(公募制1句)=中根栄子《百千鳥神は大きな耳を持つ》 同 題詠大賞=小林...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part17
今月もなぜか後半から何も読めなくなった。 外見的に懐かしいのは、カッパ・ノベルズの西村京太郎作品を辰巳四郎が装幀していた頃の『日本一周「旅号」殺人事件』や、角川文庫の映画のスチール写真を使った『小説 吉田茂』、徳間文庫の笹沢左保(絵は中原脩)等。...
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