【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part23
今月は、降ってわいたような災難がこまごまと来ては、その都度一応片付いていくという、ストレスの波状攻撃のような状態となり、動悸もやまなくなって、一時は本を読むどころではなかった。...
View Article「GA」71号(2015年5月)
「GA(が)」(編集発行:秦夕美)71号(2015年5月)から。 秦夕美の個人誌。句のほか、エッセイ数篇。水仙や戻りてまづは般若湯 秦 夕美きさらぎの雨滴ふくいくたる鳥居薄氷へ紙飛行機の滑りゆくたゞいまの声料峭の汀まで *****************************************************Kate Bush - Sat in Your Lap -...
View Article「秋草」2015年5月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2015年5月号から。水温む寺の闇より道の闇 山口昭男切株のふかきしめりや大石忌跫にはじめとをはり烏貝 市川薹子観覧車うごくともなく動き春 大西美帆 *****************************************************New Order - Bizarre Love Triangle [OFFICIAL MUSIC...
View Article「草樹」第57号(2015年5月)
「草樹」(発行:吉田成子)第57号(2015年5月号)から。 句集特集が3本、宮や武彦句集『海市』、中俣博句集『春雷』、林亮句集『高知』。古町へ厚着してゆく八一の忌 安澤静尾凧を曳く糸いつぱいの天つ風 宇多喜代子春宵やいのちながとふ伽のなか 沼尻巳津子戦なき花びら餅のうすくれなゐ 西澤和子...
View Article「オルガン」1号(2015年春)
「オルガン」(編集:宮本佳世乃、発行:鴇田智哉)1号(2015年春)から。 創刊されたばかりの、鴇田智哉、宮本佳世乃、田島健一、生駒大祐の4人による同人誌。 ちりぢりに梅見て川の流れだす 生駒大祐細密に鉄路かよへり春の星記号うつくし空港の通路を蝶 田島健一春の馬時計が拾い続ける死春の野に白い枕の置かれたる 鴇田智哉うららかに暮らした跡のあるほとり春の泥ブルーシートの奥は海...
View Article【十五句抄出】伊丹三樹彦句集『存命』
2015年角川学芸出版 『存命』は伊丹三樹彦(1920 - )95歳での第26句集。 伊丹三樹彦は現在は「青群」顧問。帰国の娘(こ)と対話 チャイだの カレーだのそのままの素手素足老い 誕生日暦繰り アルバムを繰り 予期せざりし齢世界最短詩に打ち込む 回復期眉村と就眠 パリの宿にはビデ(眉村 卓)吸飲みの水を測って 予後十年(ととせ)ひともとの桜巡るに 杖音立て象とキリンと...
View Article「小熊座」2015年5月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2015年5月号から。最期あり我立つ星に凍星に 高野ムツオ未来より雪の降り来し頃ありき帰還困難区域マスクの眼の奥に仙台駄菓子捻れしままに春を待つ耕せば女性あらわに匂い立つあの声は骨の中から告天使 我妻民雄草餅をこねて終りぬ昭和の日 佐々木とみ子じいさんもばあさんも死に桃の花 土屋遊蛍名前なき草はなかりき春の空 日下節子畳屋の針も尽きたり春しぐれ...
View Article「澤」2015年5月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2015年5月号から。猫の子を三匹入れぬ帽子の中 小澤 實信号の庇深しよ松の花原子の火に炎のありや花の昼母われを愛(め)で苛(さいな)みぬ栴檀講 高橋睦郎(新竪題)飲み足らぬゆゑと云はれぬ風邪引けば 結城あき声出してガスの検針水仙花 生井敏夫黒髪に戻すスプレー卒業す 田中...
View Article【十五首抄出】喜多昭夫『悲しみの捨て方を教える』
2015年私家版 喜多昭夫(1963 - )の歌集『悲しみの捨て方を教える』から。 前著『君に聞こえないラブソングを僕はいつまでも歌っている』以降の183首を収録。 著者は「つばさ短歌会」主宰、「井泉」所属。 はい、いいえ どちらを丸で囲むかで生死が決まるアンケートあり側溝に捨てられている皺くちゃのアルミホイルは原罪だろう手についた粘土の高い液体だ...
View Article「絵空」vol.11(2015年春)
「絵空」vol.11(2015年春)から。 山崎祐子、茅根知子、土肥あき子、中田尚子の4人の同人誌。野遊びの大きくなつてゐる鞄 茅根知子うららかや切り絵のどこもつながりて 土肥あき子できてゆく野外ステージ石鹸玉 中田尚子いそぎんちやく縮みて毒の壺になる 山崎祐子 *****************************************************Tears...
View Article「つばさ」2015年4月号
歌誌「つばさ」(編集発行:喜多昭夫)2015年4月号から。 特集が2本、「永井祐と堂園昌彦」「宮城由利の世界」。空港に欠航の巨体うち並び憮然たりその質を打つ雨 馬場あき子(招待作品)鰯雲ここに生きしと土台あり 高野ムツオ(招待作品)生きて靴を火に焼(く)べるときわたくしに神あるごとき夕映えが来る 大森静佳(新鋭作品)偏愛をあつめて生きる 宝石のような小海老を噛んで潰して 笠木...
View Article「儒艮」vol.12(2015年5月)
「儒艮」(編集発行:久保純夫)vol.12(2015年5月)から。 久保純夫「弔辞 和田悟朗さんへ」、松下カロ「白い陶器のある言葉――高橋修宏へのアプローチ」他を掲載。木苺の少年にして少女かな 久保純夫葛餅や金の匙ごと手渡され少年や岐阜蝶おいて遠ざかる 藤川游子川の名の変わる辺りの朧月 上森敦代海馬には若竹生えていい気分 嵯峨根鈴子(招待作品)青嵐『十五少年漂流記』...
View Article「紫」2015年5月号
「紫」(発行:山﨑十生)2015年5月号から。 巻頭の「龍門集」(主宰を含む同人作品欄)は、一句鑑賞を誌上に連載中なので省略。建国記念日もくねじにプラスとマイナス 山田都詩純のままきみは鬼籍に梅ふふむ 大滝徳美平成と向き合っている多喜二の忌 岡 純子 *****************************************************Quincy...
View Article「陸」2015年5月号
「陸」(発行:中村和弘)2015年5月号から。月明のぬめりを帯びて蛇の衣 中村和弘太陽に枝分かれして蛇の舌遺失物山と積まれし桜かな縄文の地層をあるく白団扇 大類つとむ(特別作品)初場所の天皇の椅子運び来る 町山直由わが郷土詠みつくさぬに犬ふぐり 古川京子マーラーの巨人終はりて猫の恋 今田 述盲目の子に探られし寒苺...
View Article【十五句抄出】『関西俳句なう』
2015年本阿弥書店 『関西俳句なう』は、関西というか西日本の若手俳人のアンソロジーなのだが、人選の基準や編集方針がわかりにくく、編者も表記されていない(この辺については佐藤文香、西原天気が既に指摘しているのでそちらを参照。久留島元のブログに成立過程の説明があり、トゥギャッターにも反応がまとめられている)。...
View Article「若竹」2015年3月号
「若竹」(編集発行:加古宗也)2015年3月号から。 初めて頂いた雑誌。A5判96ページ。師系は村上鬼城。 橋本直さんが「俳句の自然―子規への遡行」という連載をしていて49回目。うそ寒や木立の中の二軍神 加古宗也寒の水飲み凡庸の八十年 高橋冬竹負け独楽の傷撫でてゐる傘寿かな 服部くらら大寒の天地支えて合掌家 早川暢雪寒鯉のうろこの旨きお味噌汁 岡田菫也雪掻きの人にふるまふ根深汁...
View Article「井泉」第63号(2015年5月)
歌誌「井泉」(編集発行・竹村紀年子)第62号(2015年5月)から。 招待作品は草地豊子の川柳「どうします?」15句。 リレー小論「今、私が表現したいもの」、今号は加藤治郎、大熊桂子、山下好美。コンビニの数と失踪者の数と 草地豊子(招待作品)コンニャクの揺れに任せるのか国家ノリタケの磁器の雛はひんやりと緋の毛氈に寄り添いて坐す 村瀬 街「唯、唯歯が痛かった」病院ゆ帰るや猫は猛然と食べだす...
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