「日時計」No.4(1969年9月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.4(1969年9月)から。 坂口芙民子「女流作家論序説―ハンドバックを放れ」、堀葦男「「かたちで書く」俳句について―私における方法のアウトライン―」他掲載。 この野の上白い化粧のみんないる 阿部完市すきとおるそこは太鼓をたたいてとおる 箱入りの少年焼かれる花粉の闇 攝津幸彦口中に表札うるうる夜具の緋色流れ 坂口芙民子あらゆる闇を喪のいちれつの黄金虫...
View Article「日時計」No.5(1969年11月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.5(1969年11月)から。 沢好摩「堂々めぐり―表現と非表現のあいだ―」他掲載。 胃を断つ刃軽し月下に瓦積まれ 和田悟朗 植物臭の夜はもうじき人の五体が吸われていく 三宅博子
View Article「日時計」No.6(1970年1月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.6(1970年1月)から。 坂口芙民子「河原枇杷男論」他を掲載。 家鴨と蝸牛汗を拭き拭きバレーの森へ 島津 亮 父の叱責 正方形キヤンバスへ少女逃げ 村津康子デモ後は涸れた川に沿い恋愛論 糸山由紀子障子開けすぎて少し死神寄せる 攝津幸彦むかしむかしの水争いの山葡萄 沢 好摩
View Article「日時計」No.7(1970年5月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.7(1970年5月)から。 大橋嶺夫「悲劇性について」、仲啓樹「優雅なる陥ろう―社会性論議の彼岸へ」を掲載。 この号から突然、それまで前衛俳句の単なる亜流のようであった攝津幸彦が、われわれの知るあの攝津幸彦に変貌する。 遠くから来る鋼鉄のひびきの死者 林田紀音夫夜にまぎれた振子の音の亀裂すすむ 一月許可のほとけをのせて紙飛行機...
View Article「日時計」No.8(1970年12月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.8(1970年12月)から。 加藤路春「西東三鬼論」、大本義幸「摂津幸彦賛―摂津幸彦俳句目録に変えて―」他を掲載。 仮名遣いはすべてママ。 ロムルスの薔薇蠟狼の等質(ホモ)麭包鬻(いく)や 志摩 聡 白椿白痴ひうひう研究せり...
View Article「日時計」No.9(1972年9月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.9(1972年9月)から。 坪内稔典「〈わが半島〉論」、横山孤故「金子兜太の詩的出発」、立岡正幸「ふうけい」を掲載。 ガラス器に嬰児を盛れば乳さわぐ 糸山由紀子乳房に討ちとられては黒装束 立原雄一郎皿が港の薄くらがりを占領する 西川徹郎傘さし歩く暗い暗いと家の中馬の瞳の中の遠火事を消しねむる炎天に女装のはてのおどけ人(びと)...
View Article「日時計」No.10(1973年2月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.10(1973年2月)から。 大本義幸「村の感性をもとめて」、坪内稔典「北村透谷論Ⅰ」を掲載。 秋霖の学校卵で白く剥かれ 坪内稔典少年や全身朝の乳へ濡れ 宮石火呂次桃食わば口からはじまりすべて桃 大本義幸千年やそよぐ美貌の夏帽子 攝津幸彦濡れしもの吾妹に肝にきんぽうげ
View Article「日時計」No.11(1973年7月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.11(1973年7月)から。 正岡子規特集号。 神秘かの歌劇を揺らす照りかへし 馬場善樹あかときの閻魔蟋蟀髪の中 沢 好摩チーズ喰う人妻(ひとづま)冷えて秋はくる 大本義幸肩冷ゆるまで愛の広場に酢を流す 攝津幸彦流るるや花野にひらくうす化粧 横山康夫
View Article「日時計」No.12(1973年11月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.12(1973年11月)から なぜかこの号から攝津幸彦の表記が「摂津幸彦」になっている。 雨の家僧侶のスープに歯が萌える 宮石火呂次絶海の蝶の眼とはに流れつつ 坪内稔典花冷や悪霊めざめ花摘みに 糸山由紀子蝉時雨水散らばって変調せり 村津康子虚の空に泪もろきは鯛ばかり 摂津幸彦
View Article「日時計」No.13(1974年2月)
「日時計」(発行:坪内稔典)No.13(1974年2月)から。 終刊号。この後、同人は「天敵」(復刊)と「黄金海岸」に別れた。 佐々木幹郎の自由詩「狂春」掲載。 白地図に緋ダリアが咲く誰も居ぬ 坪内稔典さみだるる銀河を急ぐ葱一本 大本義幸百日紅ひとりでをるは深傷(ふかで)負ふ 沢 好摩神々の祭りにサーカスジンタで来る 糸山由紀子あの灯もこの灯も性交後の五、六年や...
View Article「秋草」2016年10月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年10月号から。 特集は《田中裕明第五句集『夜の客人』》で黒岩徳将の評論等を掲載。 田の水のふかきみどりや三尺寝 山口昭男稲の咲く夜の血圧の高さかな 石崎圭太縁側に腰かけ話す稲の花 立川由美子草の香のけぶる名越の祓かな 三輪小春ガラス戸に映る白雲今朝の秋 吉永美枝子反り強き回覧板や大西日 宗方やよい病みぬいて友ひぐらしとなりにけり...
View Article【十五句抄出】鈴木明句集『甕』
2016年9月ふらんす堂 『甕』は鈴木明(1935 - )の第5句集。跋文:高橋睦郎、栞文:筑紫磐井、高山れおな、的野雄。 作者は伊丹三樹彦、楠本憲吉に師事、「野の会」主宰。...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part41
また一ヶ月経った。 今月の書影でことに懐かしいのは『バルコニーの男』『謀殺のチェス・ゲーム』『ラヴクラフト全集2』『ちぐはぐな部品』など。『関ヶ原』も現行版とは違っている。馴染んだ装幀を変えられると身銭を切る気は失せる。...
View Article【告知】イベント「数学俳句」
「数学俳句」というイベントに、投句の講評に行くことになりました。投句は、数学用語を詠み込んだもの限定。 株式会社すうがくぶんか&アスキードワンゴ主催の「Math Power」という、前日から35時間ぶっ通しで行われる数学イベントのアトラクションのひとつです。 日時:10月5日(水)18:00~19:00 場所:六本木ニコファーレ 参加費:2,000円 ニコニコ生中継あり。当日投句もある模様。...
View Article「今」2016年秋-第15号
俳句同人誌「今」(編集・保坂敏子、発行・瀧澤和治)2016年秋-第15号から。 三枝昂之・今野寿美対談「甲子雄俳句を楽しむ」掲載。 片陰に入る帆のごとき少女たち 大隈チサ子菖蒲湯にゐて獄中の人おもふ 加藤 勝かすかにも匂はず母の菊枕 斎藤史子夜寒かな机上のルアー咲くごとく 瀧澤和治
View Article「紫」2016年10月号
「紫」(発行:山﨑十生)2016年10月号から。 創立75周年記念号。 首縊るにも席順や汗しとど 山﨑十生寝不足の木が立っている梅雨出口 鈴木紀子戦(いくさ)経し貨車の変遷大夏野 若林波留美情念のかたまりである冷奴 森 壽賀子 ゴミの出ぬ家のありけり蝉の声 鳥海美智子早朝のセブン・イレブン水を打つ 本宮珠江極限値求め水母の溺れけり 小林弘恵
View Article選句・フランス語訳・序文、マブソン青眼『日本レジスタンス俳句撰』
2016年10月PIPPA Editions マブソン青眼の選句・フランス語訳・序文による『日本レジスタンス俳句撰』が刊行された。 秋元不死男、新木瑞夫、藤木清子、古家榧夫、波止影夫、橋本夢道、平畑静塔、細谷源二、井上白文地、石橋辰之助、栗林一石路、三谷昭、中村三山、仁智栄坊、西東三鬼、嶋田青峰、杉村聖林子、渡辺白泉らの各4句を仏訳。...
View Article「里」2016年10月号
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2016年10月号から。 炎帝が雷門を跨ぎけり 金子 敦(「この人を読みたい」欄新作10句から)くだものの中心は種天高し 水内和子淋しげな案山子に風の集まれり 月野ぽぽな頭のない秋刀魚頭のある秋刀魚 上田信治どんぐりのこと一行に遅れて知る 青本瑞季幾何学のからだが秋分にまはる...
View Article「遊牧」2016年10月号
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2016年10月号から。 出目金の渇かぬ眼蕩児めく 柳 恵子声優のように昼顔蕾むかな 堀之内長一まなうらは優しい月の罠のなか 松本梨麻秋風やひとりのときは手を重ね 新村長門
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