【十五首抄出】沼尻つた子歌集『ウォータープルーフ』
2016年9月青磁社 『ウォータープルーフ』は沼尻つた子(1971 - )の第1歌集。 作者は「塔」会員。フリーペーパー及び同人誌「ないがしろ」発行。 折り畳み椅子は鋭くかち合えり雇用保険の説明会に吾の知らぬ兄を知りいる兄嫁の華奢な手首を果汁がつたうホスピスの通路を父と腕組んでバージンロードのように歩いた死の床へ屈みて歌の種を拾う愚かな愚かなあなたの娘梧桐(あおぎり)の伸びゆく枝に届き得ぬ両腕...
View Article【十五首抄出】堀田季何歌集『惑乱』
2015年9月書肆侃侃房 『惑乱』は堀田季何(1975 - )の第1歌集。 作者は「短歌」同人。 電燈のいきなり白く見えてきてもはや夕餉のときと悟りきウイルスとの関係少し遠くなり他人行儀に病を語る クワカクワカ族神話人間をうまさうに喰ふ神がゐて信仰心とはむらきもの味大脳を十の議題と六十の詭弁で充し会議に臨む...
View Article「オルガン」7号(2016年秋)
「オルガン」(編集:宮本佳世乃、発行:鴇田智哉)7号(2016年秋)から。 鴇田智哉、宮本佳世乃、田島健一、生駒大祐、福田若之(後から参加)の5人による同人誌。 浅沼璞をゲストに迎えた連句と座談会を収録。 ユタ湖たゆたう結び目や阿波踊り 田島健一われからを遥かな車だと笑ふ 鴇田智哉樺太へ兄を探しにいくのか強くない台風である君も 福田若之二階建てバスの二階にゐるおはやう...
View Article【十五句抄出】岡村知昭句集『然るべく』
2016年11月人間社・草原詩社 『然るべく』は岡村知昭(1973 - )の第1句集。栞文:佐孝石画、中島夜汽車。 作者は「豈」「狼」「蛮」所属。『俳コレ』参加者。...
View Article【十五句抄出】須田優子句集『白炎』
2016年10月風の花冠文庫 『白炎』は須田優子(1925 - 1957)の没後に編まれた唯一の句集で、本書はその復刻版(限定400部)。序:荻原水郷子、跋:吉田未灰、あとがき:須田寛伯、解説:水野真由美、復刻版あとがき:林桂。 作者は「山彦」(復刊後「やまびこ」、吉田未灰主宰)、「暖流」(瀧春一)に参加。享年28歳。 医師にさらす胸は恋など忘れいし...
View Article【十五句抄出】宗田安正句集『巨人』
2016年11月沖積舎 『巨人』は宗田安正(1930 - )の第4句集。附録としてこれまでの三句集『個室』『巨眼抄』『百塔』を収録した事実上の全句集となる。 むかし吾も斯かることせり蛇の衣日輪の冷たく懸かる白牡丹オフェーリアを蟇(ヒキ)とは誰も知らざりし押入れのにほひさせくる揚羽蝶落日のゆらゆら揚がる大夏野...
View Article【十五句抄出】上田玄句集『月光口碑』
2016年11月風の花冠文庫 『月光口碑』は上田玄(1946 - )の第2句集。渡辺白泉論2本を付す。解説:林桂。 作者は「鬣」「面」同人。 月光風鬼草木塔を過(よ)ぎる逃散 *月光粘菌稚児愛いずれ漂着す *戦場に月光不動わが名は 煙 *月光幻肢乳鉢捨てし薬師かな *独居に白墨(チョーク)マントラ一語漂うは...
View Article【十五句抄出】駒木根淳子句集『夜の森』
2016年11月角川書店 『夜の森』は駒木根淳子(1952 - )の第2句集。跋:山下知津子。 作者は「麟」創刊同人。福島県いわき市出身で実家が被災。 びしよ濡れの少年とほる立葵滑落の一瞬蛇の伸びきつて掛大根潮騒に痩せ月に痩せ父の亡き調剤室の冬灯遺されて春の小川をうたふ母 東日本大震災 三句...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part43
冬季うつが出て、連日病的に眠くて仕方がない。ひどい日は本当に呼吸するのがやっと。今月はろくに読めなかった。頭が働かないのでBLばかりやたらに増えた(市内のまんが専門古書店が閉店を決めてしまい、そこの半額セールでやたらBL本を入手してしまったせいもある)。...
View Article【十五句抄出】米岡隆文句集『虚(空)無』
2016年10月邑書林 『虚(空)無』は米岡隆文(1951 - )の第1句集(ただしそれ以前に歌句集『観葉』、句歌集『隆』あり)。 作者は「藍」「里」「杭」同人。...
View Article【十五句抄出】松尾隆信句集『弾み玉』
2016年10月角川書店 『弾み玉』は松尾隆信(1946 - )の第8句集。 作者は「閃光」「七曜」「天狼」「氷海」を経て「畦」で上田五千石に師事後、「松の花」創刊主宰。...
View Article【告知】まのあたり句会
イベントの告知です。 NHKカルチャー青山教室の新春イベント「まのあたり句会」に出演します。 出演:今井聖さん、小澤實さん、佐藤文香さん、私。 日時:2017年1月9日(月)13:00~16:00 受講料:会員 4,719円/一般(入会不要) 5,400円 投句等の詳細はこちら。 句会なんて年に一回出るか出ないかなので、個人的にも稀少な機会。
View Article【十五句抄出】角川春樹『健次はまだか』
2016年9月港の人 『健次はまだか』は角川春樹(1942 - )の句集。詩2篇を含む。中上健次「俳句と言の葉」を付す。 作者は「河」主宰。 晩秋のひかりのなかで死なせてくれ花あれば父なき家に父のこゑ試写室の椅子に健次がゐる晩夏 東日本大震災より七か月まなうらに山河は澄めり天の川性の闇死の闇深し迢空忌菊の日や蒔絵の椀に栗の飯詩の水脈(みお)は荻窪にあり秋のこゑ...
View Article【十五句抄出】伊丹三樹彦句集『当為』
2016年4月沖積舎 『当為』は伊丹三樹彦(1920 - )の第26句集。 作者は「青群」顧問。 夢に現(うつつ)に「お父さん」との声高妻妻の涙を 涎を掬う これが終(つい)か木枯鳴る 霊安室の骸は 妻机上春塵 稿債 積読(つんどく) 嵩成すまま大欅は日まみれ 夜は星まみれ樹々芽ぐむ国です 曾孫跳ね回り骸蝉踏むまじ 散りし供花踏むまじとまれGパン 卒寿半ばの更衣友逝きし旧居の前過ぐ...
View Article【十五句抄出】鎌倉佐弓句集『雲の領分』
2016年8月沖積舎 『雲の領分』は鎌倉佐弓(1953 - )の第6句集に相当する未完句集。2011年から2016年までの253句を収める。『鎌倉佐弓全句集』に収録。...
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