【十五句抄出】原満三寿句集『ひとりのデュオ』
2016年4月深夜叢書社 『ひとりのデュオ』は原満三寿(1940 - )の第3句集。2句ずつ1組の句集となっているため、今回に限り、15句ではなく7対14句ほど抄出する。 作者は俳人としては「海程」「炎帝」「ゴリラ」「DA句会」を経て無所属。 鳥顔で人かたりだす木の記憶老いた木を蛇はなれゆく村ねむり骨太の女形と入水 江戸の春春の川...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part44
土浦で30年以上、つまり私が高校生の頃から営業していた古本屋「まんがらんど」が2016年12月10日で閉店してしまった。その名のとおりマンガが中心の店だったので、私は上得意というほどではなかったが、寂びれた市街で立寄る先がまた消え、喪失感がある。 在庫処分のため、次第に値を下げつつ1ヶ月くらい閉店セールをやっていたので、BLやラノベがほとんどだが、立寄る度にだいぶ買い込んだ。...
View Article「らん」No.76(2017年冬)
「らん」(発行:鳴戸奈菜、編集:五十嵐進、結城万、皆川燈)No.76(2017年冬)から。 わたしはときどき俺だ冬ざれに垂線おろす俺を釣る もてきまりテノールの月光が降る太平洋 山口ち加この国はどこまで落ちる紅葉狩 M・M小春かな尺八が鳴りずっと留守 金子 彩赤い雪降らしてならぬ世界中 鳴戸奈菜
View Article「篠」Vol.179(2017年1月)
「篠」(主宰・発行:岡田史乃)Vol.179(2017年1月)から。 造花には造花の秋が集まり来 岡田史乃鰯雲何も赦されてはをらぬ 辻村麻乃
View Article「儒艮」vol.20(2017年2月)
「儒艮」(編集発行:久保純夫)vol.20(2017年2月)から。 ここからは雪匂いけり妻のとき 久保純夫実むらさき断頭台は地に浮いて 嵯峨根鈴子(招待作品)少年と白鳥距離を縮めゆき 松下カロ(招待作品)
View Article【十五句抄出】田島健一句集『ただならぬぽ』
2017年1月ふらんす堂 『ただならぬぽ』は田島健一(1973 - )の第1句集。序:石寒太。 作者は「炎環」同人。「豆の木」「オルガン」参加。...
View Article【十五句抄出】中村安伸句集『虎の夜食』
2016年12月邑書林 『虎の夜食』は中村安伸(1971 - )の第1句集。ツイッター小説を随所にさしはさんだ編集。 作者は「豈」同人。...
View Article「里」2017年1月号
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2017年1月号から。 ふくろふをひとつと数へひとつ欲し 佐藤文香むらさきの白へ消えつゝ冬菫 堀下 翔人骨のかがやき霜の山道は 仲 寒蝉目の前でされるピンハネ懐手 喪字男殺意あり牡蠣が騒がしくてならぬ 小林苑を東京タワー雑煮となるまでの時間 瀬戸正洋(特別作品)水涸るる鞄の中を混ぜてをり...
View Article「澤」2017年1月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2017年1月号から。 避寒人に蛸の干ものの吹かれたり 小澤 實闇汁の誘ひ巻紙墨書もて 高橋睦郎(季語練習帖)胡桃割る石はすべすべ拳大 天野正子松茸裂き占地ほぐしてホイル焼 長谷川照子レシート捨て財布ほそしよ蓼の花 榮 猿丸Wチャーシュー麺チャーシュー十八枚完食福島の秋惜しむ 山口刃心
View Article「今」2016年冬-第16号
俳句同人誌「今」(編集・保坂敏子、発行・瀧澤和治)2016年冬-第16号から。 つぎつぎに鶏の唐揚げ日短し 加藤 勝オルガンの音の中なる秋の雲 大隅チサ子
View Article「舞」No.75(2017年1月)
「舞」(編集発行:山西雅子)No.71(2017年1月)から。 貝殻のやうに葉の散り萩に冬 山西雅子飲みたきは白湯にレモンの一垂らし 川瀬朋子古書店の奥にその主秋湿り 秋津寺彦 鳥渡る母はベッドに正座して 陰山 恵(第2回舞賞受賞者特別作品)練切の菊花百弁雲の秋
View Article「秋草」2016年12月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年12月号から。 大声で石榴を投げてよこしけり 山口昭男一本の線より破れゆく熟柿墓洗ふかすれし文字を彫るやうに 石崎圭太
View Article「庫内灯」2(2016年9月)
BL俳句誌「庫内灯」(編集発行:かかり真魚)2(2016年12月)から。 歯をみがいてやりぬ白梅の精の 金原まさ子 以下は「BL俳句×映画吟行」から。ソーダ水溢れて二人遠くなる 旭 ミコTシャツや抱きしめられて絞め返す 石原ユキオ汗の演者を汗ばみて撮りにけり 岡田一実夏の雨もう使ってはもらえない 岡田朋之木の実降る考へすぎて汝と我 榮...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part45
今年もはや一ヶ月が過ぎてしまって、残りわずか十一ヶ月。 1月22日辺りを最後にほぼ何も読めなくなった。 それ以前から眩暈が根強く続いて難儀していたのだが、そこへ全身の凝り、花粉症、熱もないのにひどい高熱感が加わって、今のところ引く気配がない。 そのさなかに自分の第二句集(私の方からは手の出しようがない事情で作業が延び延びになっていた)がようやく再校ゲラを返すところまで来た。半死の作業である。...
View Article「麟」第59号(2017年1月)
「麟」(代表:山下知津子、編集:駒木根淳子)第59号(2017年1月)から。 特集は《駒木根淳子句集『夜の森』》。関悦史「物と不在のはざまに畏れる」を掲載。 《……今号では「俳壇の田中慎弥」と秘かに名付けて尊敬する、新進気鋭の俳人関悦史さんの重厚な句集評の掲載が実現し……》(編集後記) ていねいに小骨抜きをり颱風圏 山下知津子子ども叱らずの生涯大刈田 飯野きよ子倒木の濡れ身をくぐり穴惑...
View Article【十五句抄出】吉田瞳句集『ロマンスカーの人』
2016年11月私家版 『ロマンスカーの人』は吉田瞳(1949 - )の第1句集。序文:黒田杏子。 作者は「玉藻」会員、「群青」創刊同人。速記者。 「俳句」2010年6月号に、榮猿丸・大谷弘至・鴇田智哉・関悦史による「若手俳人の季語意識―季語の恩寵と呪縛」という座談会があり、これがSST結成のきっかけになったが、吉田氏はその時に速記を担当している。...
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