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Channel: 閑中俳句日記(別館) -関悦史-
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【十五句抄出】志賀康句集『主根鑑』

2017年9月文學の森  『主根鑑(おもねかがみ)』は志賀康(1944 - )の第4句集。 作者は「LOTUS」同人。  友もまた鶴の喉に迷いてか 小蛇と行くまだ終ならず耳の旅 夏草に道聞く死後の楽しみや 雨空に蠅の変異のたゆまざる かの烏賊の眼をもて常在観となす 王無くば雪雲が詩を発すべし 倒れ木となりてぞ風の行方知る 父死ねば葉擦れになりたき風ばかり 初旅やことばは無限花序にして...

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【十五句抄出】友岡子郷句集『海の音』

2017年9月朔出版  『海の音』は友岡子郷(1934 - )の、未完句集を含む『友岡子郷俳句集成』を除くと第10句集。 作者は「雲母」同人。     広島 六句 から流れ藻のごとき被曝衣夏夕日 父もまたひとりの離郷法師蝉 良夜なりときおり潮を噴く貝も 初凪や隠れ礁(いくり)に魚影群れ 向き合うて別れのさまに梅雨の薔薇 桔梗やひとり欠ければ孤りの家 壺の鶴首ほどにさみしき霰の日...

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【十五句抄出】野崎海芋句集『浮上』

2017年9月ふらんす堂  『浮上』は野崎海芋(1968 - )の第1句集。序文:小澤實。 作者は「澤」同人。  日焼して汝が背わが肩ほてり合ふ 微風立つ西瓜二つに割りたれば 雪晴やこどものこゑのよくひびく マグダラのマリアが髑髏堂に冷ゆ いんいんと蜂の子蜂となる朝 春闌けてさかなに進化する途中 シロナガスクヂラの浮上轟ける チューリップ閉ぢたる内のうすあかり 蛍生(あ)るさなぎ内側より光り...

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【十五句抄出】大西朋句集『片白草』

2017年9月ふらんす堂  『片白草』は大西朋(1972 - )の第1句集。序文:小川軽舟。 作者は「鷹」「晨」同人。  たんぽぽや円柱の影伸びてくる 睫毛まで砂粒つけし水着の子 ガスタンク照り黒揚羽交みけり ブロンズの乳房を伝ふ秋の雨 家々に牛乳置かれ稲の花 灯りたる畳廊下や春の雪 重き戸を引いて出入りや草の花 月明に皺一つなきシーツなり ボール蹴れば空気の音す雲の峰 片白草魚に声になかりけり...

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【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part54

台風が続けて来だした頃からまたやたら眠気が出るようになり、本も読めなくなっていった。献本いただいた句集なども全部拝読しているが、ブログに上げるのが全然間に合っていない。 高瀬正仁『ガウスの数論...

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「紫雁」第15号(2017年9月)

 開成学園俳句部の部誌「紫雁」第15号(2017年9月)から。 第20回俳句甲子園のレポート「俳句甲子園奮闘記「両翼」、顧問の俳句等も掲載。  以下、高三の作品。 湖へ向く心地障子を貼り終へて   山下真詩 月天心倉庫はあかあかと飢ゑて   筏井 遙 ランナーの万の心臓雲の峰   板倉ケンタ 爆心地橋は無数の汗を覚え   秋庭左右太 脊椎はさびしき塔よ大西日   岩田 奎  以下、高二の作品。...

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【十五句抄出】倉田明彦句集『青羊歯』

2017年1月紅書房  『青羊歯』は倉田明彦(1947 - )の第1句集。序文:矢島渚男。第2回姨捨俳句大賞受賞作。 作者は「梟」同人。  彫刻の手に囚はれて暮の春 水中花物食ふ口を見てをりぬ 芋嵐禁教の海青々と 枢機卿を生みたる村に穴惑ひ 灸ほどの煙たなびき山眠る 闇汁や子を産み終へし女達 変圧器(トランス)に電気の匂ひ梅雨に入る プラネタリウム銀河に梅雨をやりすごす 蛇轢いて身の浮く蛇の一本分...

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【十五句抄出】林桂句集『動詞』

2017年10月現代俳句協会  『動詞』は林桂(1953 - )の第8句集。 作者は「鬣」代表同人。  山(やま)笑(わら)ふ息吹(いきぶき)二君(にきび)雲形定規(くもがたぢやうぎ) 花(はな)笑(わら)ふ地球(ちきう)水漬(みづつ)く留守番電話(るすばんでんわ) 絵本(えほん)が走(はし)る至極(しごく)悦楽(えつらく)百鯛図(ひやくたいず)...

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【十五句抄出】岩田由美句集『雲なつかし』

2017年10月ふらんす堂  『雲なつかし』は岩田由美(1961 - )の第4句集。帯文:岸本尚毅。 作者は「藍生」「秀」所属。  海見えてゐる豆飯のにぎり飯 しぼみたる芙蓉つまむや出づる蟻 くひちがふあり枯蓮とその影と 宝物見せ合へば友夏休み 鳴く蝉を咥へし猫の振り返る 檸檬咥へし鮟鱇はベニスに死す 火の中に汁噴く枝や落葉焚く 蟷螂をころがしてゆく我が箒 冬の蜂木の実の如く骸かな...

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【十五句抄出】安田中彦句集『人類』

2017年10月邑書林  『人類』は安田中彦(? - )の第1句集。帯選句:岡田耕治。 作者は「香天」所属か(奥付に略歴無し)。  欲望の機械よ朧なる人よ 衛星を見うしなひたるさくらかな 春郊や児なき夫婦の遊びをり 玉葱の中へ中へと漣す 人体に鍵挿しこめば黒ぶだう 病みゐるは母の曠野に古箪笥 蒼ざめた馬は父なり大枯野 蟋蟀の眉間に山河ありにけり 秋出水この世の外へ髪流る 死にぎはの鯨見にゆく日曜日...

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【十五句抄出】田中幸雪句集『貝塚』

2017年10月角川文化振興財団  『貝塚』は田中幸雪(1956 - )の第2句集。 作者は「麻」同人。  こゑ高く鳥帰る日の海の晴 てのひらとあしうら白く泳ぎけり 冬満月絵本の中の人となる 電車に乗つて電車見に行く浅き春 半玉のおでこは丸し桃の花 黒鍵を弾くやうに来る秋時雨 おたひらにと言はれ茶室の秋の雨 冬青空小さきドアより入りけり ジーンズの大小干されこどもの日 わたくしに何か降りきて秋立ちぬ...

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「オルガン」11号(2017年11月)

 「オルガン」(編集:宮本佳世乃、発行:鴇田智哉)11号(2017年11月)から。 浅沼璞×柳本々々の往復書簡第2回あり。 特集は《福田若之『自生地』》で対中いずみ、青本柚紀、田島健一、鴇田智哉、宮﨑莉々香、宮本佳世乃による句集評。 座談会は宮﨑莉々香からの質問状に基づく「句集って」。  自然薯の蔓やけむりだらけの村   宮本佳世乃 暴動の結末ひよどりの容姿   田島健一 人形のすすむはやさを流れ星...

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【十五句抄出】日高玲句集『短編集』

2017年9月ふらんす堂  『短編集』は日高玲(1951 - )の第1句集。帯文:金子兜太。 作者は「海程」同人。  かたかごや妻古典的にしゃがむ 郡上八幡什器の紅し梅雨の月 晩夏光外階段にふたり居て グライダー羽化す夏野の腕の中 かたつむり頭あずける終電車 トプカピ宮トカゲ微光してサイレン 紅葉かつ散るヴァスコダガマの遠めがね 暗がりに切るアルミ箔鶴渡る 水引草父の眠りを母が聞く...

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【十五句抄出】大崎紀夫句集『小判草』

2017年9月ウエップ  『小判草』は大崎紀夫(1940 - )の第8句集。 作者は「WEP俳句通信」創刊編集長を経て「やぶれ傘」主宰。  炭焼の小屋へ弁当届きけり 朝市の裏手に雪のしづる音 オシラさま遊ばせる日の花林檎 春昼の大皿小皿てらてらと 手が伸びて春の雷鳴ひと握り 炎昼の電柱に電線の影 小判草日暮れの雨は海より来 月白の川原に工事事務所の灯 田の神の甑(こしき)へと雪鉢へ雪...

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【十五句抄出】上野一孝句集『迅速』

2017年10月ふらんす堂  『迅速』は上野一孝(1958 - )の第3句集。帯文:森澄雄。 作者は「梓」代表。  桐一葉父の死すなはち家業絶ゆ 水温む近くに河童ゐる気配    豊後・大神・回天神社回天の部品が神器梅かをる 三伏の低きを流れ大河たり 佛頭に大火の記憶遠郭公 暑き日をゆつくり老いて象はな子 不忍池に蓮見や旅めいて 冬紅葉のいづれの色やウヰスキー    栃本関所跡出女の秋七草にまぎれたる...

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【十五句抄出】井上けい子句集『森の在所』

2017年8月文學の森  『森の在所』は井上けい子(1931 - )の第2句集。帯文:塩野谷仁。 作者は「遊牧」同人。  郭公と空の蒼さを分かちけり プラトンの貌して寒鯉潜みをり 囀りや千体仏の耳動く 夕雲雀天の梯子の外されて 夏草や寺領の隅に皇子の歌碑 鬼の子を連れて行き度しモネの池 凩やムンクの叫び聞こえ来る 街おぼろ十二神将歩きをり 薫風となりたる人に逢ひにゆく 山肌の遠き傷あと夏薊...

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【十五句抄出】鈴木太郎句集『花朝』

2017年8月本阿弥書店  『花朝』は鈴木太郎(1942 - )の第5句集。 作者は「雲取」主宰。  億年のひかりむさぼる冬桜 泪目の母よ正月会ひゆけば    母 光子 逝去母死にき寒中の息使ひ切り きさらぎの鼻筋通るまで歩く 反射炉の影を出てゆく山棟蛇    地動説 四百年ガリレオの地球のかしぐ百千鳥 放心のいま紅蓮につながれる しらぬ間の生傷ひとつ牡丹の芽...

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【十五句抄出】市川薹子句集『たう』

2017年9月ふらんす堂  『たう』は市川薹子(1945 - )の第1句集。帯文・栞文:石田郷子。 作者は「椋」会員。  穴惑あかがねいろに水がやせ 足の裏見せてゐる子やお白酒 山ひとつひとつと暮れて箱庭も 竹筒を水のあふるる黒揚羽 水防碑触れてつめたき角があり 小鳥来る硯の海のゆらめきに ひとりでに閉まる扉や秋の暮 搗きあがる餅を通してやりにけり 黍畑逢魔が時を得てしづか...

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【十五句抄出】日原傳句集『燕京』

2017年9月ふらんす堂  『燕京』は日原傳(1959 - )の第4句集。 作者は「天為」同人・編集顧問。  紫荊亞父の言葉に従はず まだのみど無き鶏頭でありにけり 闘蟋を一壺一壺と覗きけり こつこつと鵲が巣を作る音 大陸は一気に夏や更衣 南風や暗渠の蓋に燕の字 蒙古より吹く秋風となりにけり 孔廟の黒き列柱夏に入る さざなみは蝶へひかりを返しけり 三伏の蠍を食はす屋台かな 火山湖に浮く客船や十二月...

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【告知】「翻車魚」創刊&文フリ

 佐藤文香さんと私の二人同人誌「翻車魚(まんばう)」の創刊号ができた(らしい。佐藤宅にあるので私はまだ見ていない)。  11月23日の第25回文学フリマ東京の、復活した短詩系ユニット「guca」(太田ユリ&佐藤文香)のブースで一緒に売られることになる。一冊一冊、赤い題字のスタンプを手捺しして販売するらしく、私も売り子を手伝う予定。個人的には初文フリとなる。...

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