「澪」2018年3月号
「澪」(編集発行:松林尚志)2018年3月号から。 終刊号。 《「澪」は瀧春一主宰の「暖流」終刊後、「暖流」の代表であった藤田宏氏が主宰となり、その後継誌として平成9年9月に発足しております。(中略)私は藤田主宰の要請をうけて平成23年の85号より代表を勤めることになりましたが、主宰には顧問として支えていただいております。...
View Article「梟」2018年3月号
「梟」(発行:矢島渚男)2018年3月号から。 来て去りし靴の足跡春の雪 小柳ゆきえ 月蝕や辻猫昏き恋に落ち 倉田明彦 踏みごたへなき吊橋や雪の中 原 雅子 新若布海鼠もろとも巻き上がる 廣渡久和 かげろひて原野に戻りゆく畑 小島照子 公魚に線量計をおもふ癖 久森謙二 マーラーの愛の楽章毛糸編む 山田 榧
View Article「静かな場所」No.20(2018年3月)
「静かな場所」(発行:対中いずみ)No.20(2018年3月)から。 鈍色の水底へ階近松忌 山根真矢(招待作品) 睡蓮や電話のなかの人とゐる 森賀まり どこからが龍どこからが秋の水 対中いずみ
View Article【十五句抄出】岩淵喜代子句集『穀象』
2017年11月ふらんす堂 『穀象』は岩淵喜代子(1936 - )の第6句集。詩歌文学館賞。 作者は「ににん」代表。 穀象に或る日母船のやうな影 馬に馬寄り添ふ白夜の地平線 水母死して硝子のやうな水を吐く 水着から手足の伸びてゐる午睡 百歳のはじめは赤子草いきれ みしみしと夕顔の花ひらきけり 万緑や火の坩堝から汲むガラス 夏霞から歩み来てメニュー置く この頃は廊下の隅の竹夫人...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part59
今月は上旬、本が読める体調になったと思ったら中旬から大崩れ。後半はほぼ何も読めずに過ぎた。 装幀として懐かしいのは田中光二『大放浪』(空山基)、松本清張『渡された場面』(斎藤和雄)、星新一『ごたごた気流』『宇宙の声』(和田誠)、江戸川乱歩『白髪鬼』『D坂の殺人事件』『魔術師』(多賀新)など。 横溝正史『幽霊鉄仮面』(田村元)はリアルタイムでは見た記憶がない。...
View Article【十五句抄出】矢野リンド句集『囀のまなか』
2018年4月マルコボ.コム 『囀のまなか』は矢野リンド(1958 - )の句集。第7回百年俳句賞の最優秀作品として冊子化されたもの。 噂より小さき猪降ろし来る スペインの神父のために煮るセロリ 啓蟄のパジャマのままの日曜日 火曜日の女ばかりの花見かな 菜種梅雨切り絵の蝶に囲まれて 地下にある水の王国夏木立 空の膜たやすく溶けてさみだるる 海が意志持つ手始めの海月かな 遠雷や卵の殻の中にゐて...
View Article【十五句抄出】野口裕句集『のほほんと』
2017年12月まろうど社 『のほほんと』は野口裕(1958 - )の句集。 初蝉や法事欠席十五歳 鉄骨の沈んで滝を滝となす 重機また人の末裔黄沙降る ピロティーに水の墨痕初しぐれ チョロQのような蝉殻大気圏 ぱっくりと血染の雲や母は美人 柿ピーに混ざる小魚クレーの忌 文字化けの海にたたずむ櫻かな まず手を見次に爪を見試験果つ 戻り賀状の文面を読み返す 雪催引き戸の奥のプラモデル...
View Article【十五句抄出】深見けん二句集『夕茜』
2018年3月ふらんす堂 『夕茜』は深見けん二(1958 - )の第9句集。 作者は「花鳥来」主宰。「ホトトギス」「珊」「秀」同人。 光りしは蟻の運べるものの翅 五月雨の雨垂太く白くなり 九十を越してもバレンタインの日 潦雲を映して囀れる 遠くより扇子を持つて現れし 海の日の終るしばしの夕茜 介護士の腕のほどよき日焼かな 山茶花のこぼれ一日又過ぎぬ ゆれやうも流れのままに水草生ふ...
View Article【十五句抄出】草場白岬句集『成木責』
2018年3月ふらんす堂 『成木責』は草場白岬(1933 - )の句集。跋文:長谷部文孝。 作者は現代俳句協会会員。 思ひ出せぬ暗証番号成木責 椿落ち平等院をいびつにす 手づかみで足してくれたる蜆売 綿菓子の包む空気や春祭 冷え性の肌こそよけれ竹婦人 診断はなべて加齢や黍嵐 裏返りたがる掃除機十二月 能舞台ほたるの闇とつながれり 万緑といふ水絵具湖に溶く 現住所幾たび変へていま枯野...
View Article【十五句抄出】東蕾句集『天青』
2018年3月角川書店 『天青』は東蕾(1952 - )の第1句集。序文:鍵和田秞子、跋文:正木ゆう子。 作者は「未来図」同人。正木ゆう子と高校、大学で同窓。 十薬を繁らせ己が匂ひとす わが欠片集むるごとく栗拾ふ 柊挿しさなぎのごとく眠りけり 寒晴や象の背骨のきしむ音 老幹のしぼりだしたる梅一輪 蝉時雨空に柱のあるごとし 青空に首あづけたる蓮の花 天青へ水たちあがる瀑布かな...
View Article【十五句抄出】諏訪洋子句集『人に火に足跡』
2018年1月現代俳句協会 『人に火に足跡』は諏訪洋子(1945 - )の第2句集。 著者は「遠嶺」「国」を経て「歯車」会員。 寒卵割って目覚める多肉都市 半分に林檎を割って兄の海 腸の迷路で蛙に出会いけり 少女やわらかき球体汗したたる 顳顬に白夜のたまる一家族 光源は百の白鳥吾がむくろ 地虫出て互いに別の海を見る 花の宴右も左も顔がない 空の端つまんでひろげ若布干す...
View Article【十五句抄出】西山春文句集『銀』
2018年4月ふらんす堂 『銀』は西山春文(1959 - )の第2句集。帯文:鷹羽狩行。 著者は「狩」同人。 初刷りの重さ地球の重さとも 銀(しろがね)の川銅(あかがね)の麦畑 人形をしあげるごとく天瓜粉 眼鏡とり髪をほどきて紐水着 みどりさす詩片のごとき出土品 風に飛びさうな神官海開き 道路鏡なべて曇らせ山眠る 男の子二人かけぬけ夏座敷 音あらばやかましからん大百足虫 原爆忌天心は雲寄せつけず...
View Article【十五句抄出】山本掌句集『月球儀』
2018年3月DiPS.A 『月球儀』は山本掌の第4句集。帯文:皆川博子、金子兜太。 著者は「海程」同人。 翼たためる馬かいまみし葡萄の木 水の声水のまどろみ夜の桜 不機嫌な化粧(けは)う少年花の塵 おおいなる火種はさくら殺意はや 白馬(あおうま)のまなぶたをうつさくらかな この指がこの腕が燃えきさらぎ てのひらの有刺鉄線春の雨 若鮎の骨美しき宇宙塵 鮎食べて天球の半径を測る...
View Article【十五句抄出】鈴木節子句集『夏のゆくへ』
2018年4月(新装版)ふらんす堂 『夏のゆくへ』は鈴木節子(1932 - )の第1句集。序文:能村登四郎、跋文:林翔。 原著は牧羊社、1982年。 著者は「門」主宰。 薪束の胴締め寒のにはかなり たんぽぽの絮の一つが部屋に棲む 枯山に向くほかはなし藁の家 敗者にはならず大根厚く煮る もの焦げし匂ひに続く白炎天 潮騒をしたがへて来る紺水着 寒流のごと男来て鍬つかふ みじろぎの母の一韻年果つる...
View Article【十五句抄出】徳森凉子句集『遠い目で咲く』
2018年4月ジャプラン 『遠い目で咲く』は徳森凉子(1935 - )の第1句集。 著者は「形象」会員。 3・11へ遠い目で咲く白つばき 蓮華野にぽろぽろと聞く父のこと 君は逝く雲母(きらら)の種子を手渡して 蟷螂が居るしずかに日が暮れる 胡蝶蘭秘密のページあるという ヒトで在ることが寂しい桜満開 あゝ蜉蝣うすむらさきの風の中 日暮れまで平安時代に居ますので 観覧車元素が順に乗りに来る...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part60
先月、芝不器男俳句新人賞の公開選考会が終わってから、応募作14,000句を短期間に読んだ疲れが出たのか、十日以上寝てばかりとなった。この間、何を食って生きていたのかほとんど記憶も飛んでいる。稀に見る何も読めなかった月。 表紙として懐かしかったというものも、山田正紀(味戸ケイコ)と西村京太郎(野中昇)、森村誠一(日暮修一)くらい。...
View Article「繪硝子」2018年5月号
「繪硝子」(編集発行・和田順子)2018年5月号から。 永福寺遺跡の上の春の空 和田順子 黄金率ありて栄螺の転げざる 夜の新樹一里を隔て子ら棲めり 向笠和子 蜥蜴穴を出でて眼の鋼色 下鉢清子 葛湯吹き恙の足を養へり 藤田純男
View Article「陸」2018年5月号
「陸」(発行:中村和弘)2018年5月号から。 《追悼 金子兜太先生》欄あり。 浮世絵の中に入りたる雨蛙 中村和弘 種芋にこめかみありてうごかざる 大石雄鬼 マンモグラフィーの乳腺絡み雪催 石川真木子
View Article「知音」2018年5月号
「知音」(編集発行:行方克巳、西村和子)2018年5月号から。 大田螺泥をかぶれば泥となる 行方克巳 山小屋は男の巣箱風と棲む 西村和子 パソコンの立ち上り待つ懐手 谷川邦廣
View Article「澤」2018年5月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2018年5月号から。 「俳句とアニミズム」一句鑑賞原稿募集中。 雪の日の午前灯しぬ文具店 小澤 實 妊り女眠る緑の直ダ中に 高橋睦郎(季語練習帖) 洗はれて小さくなる犬春隣 高橋美穂子 インフルエンザB型癒えてA型ひく 嶋田恵一 コンタクトレンズ凍りぬ容器の中 内野永子 雪のコンビニエンスストアに出汁にほふ 池田瑠那...
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