「小熊座」2018年5月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2018年5月号から。 鬼房忌ジャガ芋人参玉葱も 高野ムツオ 凍港の光の音が天にまで 歳時記に「三月」震災以前より 春日石疼 明治には狼殺す記録かな 俘 夷蘭
View Article「白茅」第17号(2018年春夏)
「白茅」(代表:中田剛)第18号(2018年春夏)から。 子供泣きわめく正岡子規の忌を 中田 剛 スコップを突き立てて割る根雪かな 神蛇 広 かすかなる獣の匂ひ今年竹 久保京子 桜餅大きな口に喰はれけり 小山宗太郎
View Article「円錐」第77号(2018年4月)
「円錐」(編集委員:山田耕司・今泉康弘・澤好摩、発行:澤好摩)第77号(2018年4月)から。 「第2回円錐新鋭作品賞受賞者最新作品」を掲載。 両切りの煙草の香り春の雪 澤 好摩 祈るとき屋根より雪の落つるあり 橋本七尾子 少女とは自他に残酷白牡丹 石原百合子(第2回円錐新鋭作品賞「花車賞」澤好摩推薦) かたちなきものへとかへる秋の雲 高梨...
View Article「秋草」2018年5月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2018年5月号から。 オルガンのかたき鍵盤下萌ゆる 山口昭男 眼より炎のあがる目刺かな マネキンの裸の胸や梅白し 常原 拓 じやがいものスープの向かう春の雪 橘こごみ
View Article「鷹」2018年5月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2018年5月号から。 旅終へて近所なつかしなづな咲く 小川軽舟 濤の音空を行き交ふ朧かな 春みぞれ肉屋のコロッケが揚がる 奥坂まや 三鬼忌やでろんべろんとジャズベース 山本良明 白山は雲憑き易し春祭 島田星花 鳥雲にあなたの苗字思ひ出せぬ 竹岡一郎
View Article【十五句抄出】高橋龍句控『上屋敷』
2018年5月高橋人形舎・不及齋叢書 『上屋敷』は高橋龍(1929 - )の句集。 如月の三角形は四角なり てふてふが一匹詩(ポエム)を越境してしまつた 接吻(キス)せよと校則にあり入学す ヒスパニックも都踊りはヨーイヤサー 中心も周縁も陰毛(け)に覆はるる 海豹(あざらし)に水着の跡の残りたる 戦争(いくさ)あり蕃茄(あかなす)腐れゐし頃に 内股の蓮を謎れるオフェリアよ...
View Article【十五句抄出】堀越胡流句集『白髪』
2018年4月現代俳句協会 『白髪』は堀越胡流(1943 - )の第3句集。 著者は「鬣」「ロマネコンティ」同人。 稲妻の見せたる海の静かなる 銀杏の夜に落ちるは淋しけれ 喉飴のうすき苦みや夏椿 雲の峰崩れて関東平野かな 天心の月をよろこぶ朴の花 六月の半ばに友のいなくなる したたれる梨のしずくや野面積 風というこけしの瞳秋惜しむ もう朝が来ぬやもしれぬ蒲団かな 空蝉のまだやわらかき父母の墓...
View Article【十五句抄出】青木文子句集『松の風格』
2018年4月角川書店 『松の風格』は青木文子(1932 - )の第1句集。序文:飯島ユキ。 著者は「羅」会員。 遠目にも松の風格初御空 囀やジャム煮るヘラのゆるやかに 交番を出でて巡査も花の人 箒目に散り込む花や京料理 耳遠くなりゆく人と春の野に 起き抜けは僅かを歩く素足かな ハイビスカス卓布を煽る湾の風 ふいに会ふ友の大きなサングラス 吹き冷ます一椀もあり夏料理 自愛とは怠りに似て緑の夜...
View Article【十五句抄出】井口時男句集『をどり字』
2018年5月深夜叢書社 『をどり字』は井口時男(1953 - )の第2句集。 著者は文芸批評家。 ピーカンの空に翳あり原爆忌 喫ひ付けて女はしやがむ路地の夏 初空や化鳥のやうな凧ばかり 海鞘(ほや)嗜(この)む壮漢(をとこ)となりぬ美少年 蝉として目覚め蝉として啼くばかり をどり字のごとく連れ立ち俳の秋 失せ物はライターだけかビルの月 「夕暮れはいやだ」と書いて春失踪...
View Article【十五句抄出】前田攝子句集『雨奇』
2018年4月角川書店 『雨奇』は前田攝子(1952 - )の第3句集。 著者は「漣」主宰、「晨」同人。 透明の水差バレンタインデー 夏休みナウマン象の大臼歯 大阿闍梨亡き北嶺の秋さびぬ 天球の深さに触れてゐる夜寒 寒ムや世の何かくづれてゆく気配 梨咲いて介護ベッドの運ばれ来 ざらつきし竹の切り口年用意 化石掘る子に声かけて遍路かな 子遍路の姉妹しづかに湯をつかふ 春宵や朗らに笑ひみんな寡婦...
View Article【十五句抄出】小泉瀬衣子句集『喜望峰』
2018年5月角川書店 『喜望峰』は小泉瀬衣子(1963 - )の第1句集。序文:仲寒蝉。 著者は「港」会員。父は大牧広。 白酒の残りを捨てるときに風 とりあへず座らせておく新社員 立ちくらみして急に夏渋谷駅 飛込に散弾銃のやうな海 誰も切らぬから誰も食べられぬ西瓜 不意に跳ぶ蛙心臓かと思ふ 白鳥型ボートの所為でさみしい湖 さはやかに手術室へとゆきし父 飛べさうな気がしてならぬ夏岬...
View Article【十五句抄出】花谷清句集『球殻』
2018年5月ふらんす堂 『球殻』は花谷清(1947 - )の第2句集。 著者は「藍」主宰。 配達不可の県名三つ鳥雲に 風に影かぜに五月の海の音 永遠の滴り一瞬の地球 折目から灼ける折鶴色なきまで わが靴の跡ふみ戻る秋の浜 くらげ縮むたび月光の遠くなる かぎりなく脆き球殻雁渡る ジュラルミンの楯に間隙春疾風 売れ筋と呼ばれてさびし紙風船 ビー玉の影は黄みどり鳥雲に 短夜の撃たれつづけるJFK...
View Article【十五句抄出】白石喜久子句集『鳥の手紙』
2018年4月角川書店 『鳥の手紙』は白石喜久子(1948 - )の第2句集。栞文:武藤紀子。 著者は「晨」「円座」同人。 六月の水の中より竹二本 松の根に子供が坐る祭かな 父逝く 二句 から大いなる野分に父を送りけり 月細く細くなりけり穴惑 いつの間に沖のつめたき浮輪かな 青年の棲む家昏し桐の花 秋燕のまた現るる大斜面 屋根神のやうに猫ゐる霜日和 養老の蛇たをやかに泳ぎ去る 祝...
View Article【十五句抄出】伊藤敬子句集『年魚市潟』
2018年4月角川書店 『年魚市潟』は伊藤敬子(1935 - )の第17句集。 著者は「笹」主宰。 初芝居第一声は美少年 山々をゆらしつづけて鳥帰る なんとなく手足さみしき四月尽 笹の葉を敷けば山女の斑の映ゆる 平安の銀河しつらふ冷泉邸 切株に群がりゐたり月夜茸 花筏闇引つ張りてすすみくる 青竹の太きが届き年用意 金箔を散らしたる菓子初茶湯 一同の礼美しく卒業す 阿波にをり遍路の群に加はりて...
View Article【十五句抄出】岩片仁次編『加藤元重句文集―戦後編』
2018年3月鬣の会 岩片仁次編『加藤元重句文集―戦後編』から。 加藤元重(1918? - ?)は、戦後復刊した「群」に「加藤藻太」名義で、高柳恵幻子(重信)とともに同人。高柳重信の句集『前略十年』に「加藤元重に」等の前書きが入る句がある。 懐手空は溝にもうつるなり 軒つらら折らば阿呆にちなむ景 早春の突風孤獨日和かな 豪雨の夜轍に沿つた蟇(ひき)二匹 *...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part61
最寄りのブックオフが閉店してしまった。 付近で生き残っている古本屋はもはやあと一軒だけ。ここがなくなったら住めた土地ではなくなる。 斎藤栄『黒白の奇蹟』講談社文庫・1987年《箱根芦ノ湖の遊覧船上で財閥の御曹子が殺された。現場になぜか碁石がひとつ。交際範囲から、女流最高位を狙う棋士や、ファンの美女らの人間関係がクローズアップされたが、そのうちに第2の殺人が発生した!...
View Article「セレネッラ」第16号(2018年6月)
ネットプリント誌「セレネッラ」(編集:中島葱男)第16号(2018年6月)から。 ゲストに堀本吟が参加。 夜汽車から蒼い水母が降りて来る 金子 敦 夕立の底より点字ブロックが 中山奈々 南には南の星座天道虫 中島葱男 王道を逸れし四葩の路地むらさき 堀本 吟
View Article【十五句抄出】河内静魚句集『夏夕日』
2018年6月文學の森 『夏夕日』は河内静魚(1950 - )の第6句集。 著者は「毬」主宰。 美しきところへ沈む夏夕日 七月の玻璃のテーブル水のやう 草原と海に挟まれ白日傘 ひと色の海に囲まれ氷店 泳ぎ来て水の重さの腕置ける うれしさうな西瓜の赤きところあり うそ寒しすぐ割れさうなダリの空 どの星も地球に遠し室の花 水仙にさはる躰を固くして ビルたちの呼び合ひてをり春の暮...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part62
今月は後半、微熱と背の痛みがひどくなってろくに本が読めなくなった。 最寄のブックオフの閉店セールでまたBL本が増えてしまったので、その辺を消化してばかり。 鎌田東二氏の初の詩集『常世の時軸』は著者から寄贈いただいた。感謝します。...
View Article【告知】「俺たちのまのあたり句会」(NHK文化センター青山教室)
NHK文化センター青山教室で公開句会「俺たちのまのあたり句会」をやります。 4人で公開句会ののち、受講者の句を講評するというもの。 受講者(投句者)募集中です。 以下、NHK文化センターHPから。受講申し込みもこちらのサイトへ。 * 講師中原道夫 榮猿丸 関悦史 高柳克弘...
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