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Channel: 閑中俳句日記(別館) -関悦史-
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【十五句抄出】対中いずみ句集『水瓶』

2018年8月ふらんす堂  『水瓶』は対中いずみ(1956 - )の第3句集。 著者は「静かな場所」代表、「椋」会員。  浅春の岸辺は龍の匂ひせる 雨垂は壁にさはらず沈丁花 うら若き龍が氷雨を降らすこと ぢつと待つ猫に穴子の放らるる 聖歌隊ロビーに散りて嬉しそう 猿は木に額をつけて川涸れて やぶからしそれからへくそかづらの蔓 鳥のほか川しづかなる裕明忌 壬申の乱をはるかに麦青む...

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【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part64

 古本市で入手してしまったものを消化していたので、今月も娯楽小説ばかりになっている。 装幀で懐かしいのはソノラマ文庫の加納一朗(祐天寺三郎)、やサンリオSF文庫のロイド・ビッグル...

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オリビア写真館 Part7

2018年8月10~11日                              撮影はK.Onomura        

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「夢椿」第8号(2018年8月)

 「夢椿」(発行:洛南高校俳句創作部)第8号(2018年8月)から。 俳句甲子園のときにもらってきた洛南高校の部誌。小池康生が部のコーチとして一文を寄せている。 各人7句掲載されているなかから、1,2句ずつ抄出。  木漏れ日のなかで蛙となりにけり   夕星 麦秋の強く曲がりしソーセージ 春眠の重さトトロのやわらかさ   燕雲 先生は僕だけ怒る桜の実 夕蛙廃墟のタイル点々と   後藤瑞希...

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「野郎共」第2号準備号(2018年8月)

 「野郎共」(発行:名古屋中学校・高等学校文学部)第2号準備号(2018年8月)から。 俳句甲子園に出した句の一覧が載っているが、それ以外の活動記録もまとめてあって、みなあちこちのコンクール等で入賞している模様。 以下は各人10句掲載されているなかから1句ずつ抄出。  水底のゆつくり翳る鶏頭花   牛田大貴 黒板に再試の名簿夏立ちぬ   新家功大 東風吹くやテクノポップの響きあり   岩畑宙良...

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【十五句抄出】岡田一実句集『記憶における沼とその他の在処』

2018年8月青磁社  『記憶における沼とその他の在処』は岡田一実(1976 - )の第3句集。帯文:金原瑞人、跋:青木亮人。 著者は「らん」同人。  火蛾は火に裸婦は素描に影となる 蟻の上をのぼりて蟻や百合の中 喉に沿ひ食道に沿ひ水澄めり 蠟燭と冷たき石の照らし合ふ 歩きゐて動く歩道や鳥の恋 煮魚の涼しき骨を展げけり 照らされて多条の雨や祭の夜 宗教に西瓜に汁の朱さかな 焼鳥の空飛ぶ部位を頂けり...

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【十五句抄出】池田瑠那句集『金輪際』

2018年9月ふらんす堂  『金輪際』は池田瑠那(1976 - )の第1句集。序文:小澤實。 著者は「澤」同人。  東京に曠野(あらの)のにほひ夕立中 桜より燃えうつる火やおのれへと 宇宙船凍つライカ犬乗せしまま 焼けるもの塩のまばゆき大暑かな よくとほる声に名呼ばれ卒業す 草の浪丘を越えゆく良夜かな 竜宮城洗つて金魚鉢に戻す 戛戛と猟犬齧る鹿の骨 司書ひとり本繕へるさくらかな...

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「紫雁」第16号(2018年9月)

 開成学園俳句部の部誌「紫雁」第16号(2018年9月)から。   以下、高三の作品。 四肢むかし鰭でありけり日向ぼこ   渡辺 光 のけぞつて山うつくしき相撲かな   須藤凪斗 秋暑し金剛力の中華丼   折井森音 兄弟のごと滴りのずれてをり   横内 深   以下、高二・高一の作品。 車輪持つものみな昏き残暑かな   熊谷厚司 春眠や陽を閉ぢ込むる砂時計   関口礼児 教会に虚構めきたるヒヤシンス...

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【十五句抄出】三森鉄治句集『山稜』

2018年9月ふらんす堂  『山稜』は三森鉄治(1959 - 2015)の第6句集で遺句集。編集:舘野豊。  鴨載せて波せり上がる春隣 含みては鯉の吐き出す桜かな 囀りや白雲は地に降りて来ず 白薔薇の芯の乳いろ聖五月 黒光りして大滝の涸れゐたり せつせつと瞬きて水涸るるなり 能の出に似て夜風吹く枯木山 窓越しの富士なまなまと秋の蠅 籐椅子に隣の猫が寝てゐたり 山々のみどり溶け合ふ五月かな...

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【十五句抄出】山田牧句集『星屑珈琲店』

2018年9月ふらんす堂  『星屑珈琲店』は山田牧(1972 - )の第1句集。序に代えて:鍵和田秞子。 著者は「未来図」同人。  ふらここの夕べ幼き哲学者 堤防に垂らす両脚春の昼 秋灯や鍵を忘れて姉いもと 平成の埃重なる扇風機 冬麗や絵に入るやうに門くぐる 冬の月東京タワー手折らむか ガラス戸に満ちたる淑気開店す 夏隣登つてみたき大樹あり 歩まねば手脚取られむ青葉闇 オクラ切るこちら流星製作所...

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【十五句抄出】中村ひろ子句集『ドロップ缶』

2018年9月ふらんす堂  『ドロップ缶』は中村ひろ子(1969 - )の第1句集。序文:鍵和田秞子。 著者は「未来図」同人。  よしず立て風は隣家の息遣ひ 悠々と大空を切り小鳥来る 聖樹飾る娘いつしか背伸びせず 小さき手でドロップ缶振る火の用心 冬枯の阿蘇の軽さを踏みしめて 出鱈目な歌高らかにプールの子 めがね男子群れて十月桜咲く 毛皮着て我が背猛々しくなりぬ   以下《熊本地震後初帰郷して...

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【十五句抄出】夏木久俳句風曲集『風典』

2018年9月風詠社  『風典』は夏木久(1951 - )の第3句集。 著者は「連衆」「豈」「俳句新空間」参加。  風曲る角に手洗ふ水の暮 母の影海に戻せば回遊す 葱白く逢魔が時をひだす 一角獣都心の森の隅に棲み 月光の四肢美しき程麻酔 雲の峰より一団の湯治客 雑草と呼ばれ大地を夢夢と 画期的な暴言吐いて退席す 遊歩道夢の剥製並べられ 電線や空麗らかに腑分けされ 炉話の続きは半減期の先へ...

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【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part65

 9月は出かける用も多かったのに移動中に意外と本が読めなかった。...

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【十五句抄出】日下野由季句集『馥郁』

2018年9月ふらんす堂  『馥郁』は日下野由季(1977 - )の第2句集。栞文:大木あまり。 著者は「海」編集長。  揺れやむは泣きやむに似て藤の花 風を聴くかたちとなりて薄氷 猫一匹分の日だまり冬の草 またひとつ星の見えくる湯ざめかな 考ふる睫毛長しよ夏薊 揚花火息ととのへてよりひらく 雨粒の大きく百合の蕊伝ふ 水澄めり受胎告知のしづけさに 秋の雲あまたあつまりゐて薄し...

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【十五句抄出】鶴岡行馬句集『酒ほがひ』

2018年9月邑書林  『酒ほがひ』は鶴岡行馬(1956 - )の第1句集。行馬五句:藤田湘子、序文:小川軽舟、跋文:奥坂まや。 著者は「鷹」同人。  鷄のため貝殻つぶし卒業す 大虚子の忌の荒草を機械刈 古書店の白熱燈と蠅叩 宿帳に敎員と書く秋の暮 稀覯書といへど仙花紙猫の戀 月蝕や柱をのぼる蟻の列 波郷全集重ね散らばり冬に入る 梁に吊す兔や年用意 赫奕と鴨發たす日の昇りけり...

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【十五句抄出】稲元幽林句集『夢の指紋』

2018年7月ジャプラン  『夢の指紋』は稲元幽林(1941 - )の第1句集。 著者は「形象」会員。  雲映す水路に落葉カニの群れ 色も香も夢の続きで金木犀 死者の影虹をまといて渡ります 夕映えの棚田は大地の切り絵です 羽化の蝶居ずまい正し翔びたちぬ 化石にも夢の指紋はあるかしら 忘れるは悲しくうれしい寒椿 眼力の志功の女梅雨の花 かげろうをつかみそこねた猫昼寝 見返りのできぬ姿のやぶ椿...

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【十五句抄出】細田慶子句集『七分の嘘』

2018年9月ジャプラン  『七分の嘘』は細田慶子(1950 - )の第2句集。 著者は「形象」会員。  空欄を春の光で埋める母 水明かり春の苦味を燃やしてる 精神を丸洗いして野水仙 球形の思考が苦手春の闇 晴天の青不足して君の葬 さくら草 記憶の底を開けなさい 一筆箋持て余している白蓮 小判草 母が呆けただけのこと 神無月白い時間を描く母 月光を身の芯で聞く都鳥 人の世の端をなぞって蝸牛...

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「紫雁」第16号(2018年9月)

 開成学園俳句部の部誌「紫雁」第16号(2018年9月)から。   以下、高三の作品。 四肢むかし鰭でありけり日向ぼこ   渡辺 光 のけぞつて山うつくしき相撲かな   須藤凪斗 秋暑し金剛力の中華丼   折井森音 兄弟のごと滴りのずれてをり   横内 深   以下、高二・高一の作品。 車輪持つものみな昏き残暑かな   熊谷厚司 春眠や陽を閉ぢ込むる砂時計   関口礼児 教会に虚構めきたるヒヤシンス...

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【十五句抄出】三森鉄治句集『山稜』

2018年9月ふらんす堂  『山稜』は三森鉄治(1959 - 2015)の第6句集で遺句集。編集:舘野豊。  鴨載せて波せり上がる春隣 含みては鯉の吐き出す桜かな 囀りや白雲は地に降りて来ず 白薔薇の芯の乳いろ聖五月 黒光りして大滝の涸れゐたり せつせつと瞬きて水涸るるなり 能の出に似て夜風吹く枯木山 窓越しの富士なまなまと秋の蠅 籐椅子に隣の猫が寝てゐたり 山々のみどり溶け合ふ五月かな...

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【十五句抄出】山田牧句集『星屑珈琲店』

2018年9月ふらんす堂  『星屑珈琲店』は山田牧(1972 - )の第1句集。序に代えて:鍵和田秞子。 著者は「未来図」同人。  ふらここの夕べ幼き哲学者 堤防に垂らす両脚春の昼 秋灯や鍵を忘れて姉いもと 平成の埃重なる扇風機 冬麗や絵に入るやうに門くぐる 冬の月東京タワー手折らむか ガラス戸に満ちたる淑気開店す 夏隣登つてみたき大樹あり 歩まねば手脚取られむ青葉闇 オクラ切るこちら流星製作所...

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