「里」2013年12月号
「里」(発行:島田牙城、編集:仲寒蝉)2013年12月号から。咳をするとすこしめくれる海の端 佐藤文香荒れ庭に母の欠伸を吸ふ鼬 虎時風花やかくもきれいに橋落ちて 谷口智行ちちははの間の紙を点火せり 男波弘志手のやうな鰭もつ魚クリスマス 上田信治灯るビルなし冬ざるる埋立地 ひらのこぼ冬きたる図鑑の卵やや割れて 堀下 翔ゆーむくんの体重日記冬うらら...
View Article「鷹」2014年1月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2014年1月号から。 鷹俳句賞(景山而遊)、鷹新葉賞(井上魚州、上村慶次、山内基成)、鷹新人賞(清水右子、蓜島啓介)と、新同人の発表あり。 2014年が「鷹」創刊50周年に当たるらしい。ひらひらと硯沈めり寒の水 小川軽舟蔦かづら死者の枕辺鏡澄む 奥坂まやのつぺりと刑務所の塀冬の月 兼城 雄火事跡を見て来しホットドッグかな 髙柳克弘皺の手が冥王へ桃投げつける...
View Article「枻」2014年1月号
「枻」(編集発行:橋本榮治・雨宮きぬよ)2014年1月号から。 初見の雑誌で、宗像アヤ子「一月の秀句」欄で拙句が取り上げられたので送ってきてくれた。A5、80頁ほどと結社誌としては厚め。 平成25年度年間賞発表あり。百磴賞=吉田篤子、枻賞=該当者なし、梓賞=高成田満理子、琉賞=該当者なし。かさりともせぬ藩校の錦草 雨宮きぬよ綿虫や父母ゐるやうに灯を点す 橋本榮治秋冷の薔薇の模様の包み紙...
View Article「草樹」第49号(2014年1月号)
「草樹」(発行:吉田成子)第49号(2014年1月号)から。冬瓜煮る眠り足りたる寂しさに 吉田成子月眩し犬の死相をこまごまと 宇多喜代子秋扇講義はつづけねばならぬ 渡辺和弘あなたには届かぬ距離の祭笛 石川冨美子曼珠沙華遊び呆けてゐるやうな 江隈順子*****************************************************Laurie...
View Article「陸」2014年1月号
「陸」(発行:中村和弘)2014年1月号から。掌をしきりに舐めし檻の熊 中村和弘甲板の蛸をびりりと剥がしたり国後島(くなしり)の鱈の巨眼に礼(いや)したり実石榴の味を知りたる瞳かな 町山直由重陽やドーナツ切り口二つ持つ 稲村茂樹起重機のロゴ太々と秋黴雨 永井アイ子取り壊す家の中まで野菊晴れ...
View Article「小熊座」2014年1月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2014年1月号から。 特集は、佐々木とみ子句集『氷河の音』。海の光もろとも置かれたる蜜柑 高野ムツオどの星がこぼせし時雨かと見上ぐ散ればみな莫逆奥の冬紅葉吊るされし鮟鱇が生む怒濤音水平線に水の力や鳥渡る 上野まさい死にたいと言えば死ねるかいぼむしり 佐々木とみ子名月をセブンイレブンから眺め 越高飛騨男山眠る亡き人の夢見るために...
View Article「麟」第47号(2014年1月)
「麟」(代表:山下知津子、編集:駒木根淳子)第47号(2014年1月)から。 高村幸治による新連載「一期一会 本作りの中の出会い」がスタート。菊食むや奥山の瀬に立つごとし 山下知津子甘鯛煮る蓋取るたびに目の合ひて 染谷佳之子棒杭の朽ちてやわらか冬夕焼 飯野きよ子一枚となり椋鳥の大移動 駒木根淳子照明の暗き官庁街凍つる...
View Article「秋草」2014年1月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2014年1月号から。 今年は一年間、中村草田男の『萬緑』を読んでいくらしい。初回は長嶺千晶(「晶」代表)。水澄んで見分けのつかぬ老の顔 山口昭男黄落や女四人がこちら向く七五三大きな蟻の来てゐたりふるさとの偉人を語る茸汁 市川薹子一同を包み込みたる月一つ 橘こごみうどん屋に祭の人や薄紅葉 椹木雅代白雲も旅するごとし干大根...
View Article「澤」2014年1月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2014年1月号から。 会員各人が選ぶこの一年の「澤の十二句」、磯貝一沙・今村豊・ホッピー太郎鼎談「極私的澤俳句論」掲載。相子智恵の小澤實論(「豈」54号からの再録)もあり。一面のどんぐり椅子の座面にも 小澤 實医院廃業の洋館枯るる中水澄むやスマートフォンに読む『こころ』 東徳門百合子うそ寒やミシンの椅子に背凭れなし...
View Article「今」2013年冬-第4号
俳句同人誌「今」(編集・保坂敏子、発行・瀧澤和治)2013年冬-第4号から。 巻頭エッセイに山下知津子。 特集は「飯田龍太」。荒草を刈りととのへて神の留守 小林久子五位鷺の海の岩場に秋日かな 城 松喜冬薔薇のクオリアとして真くれなゐ 高石直幸水飲みて喉を撫でゐる冬野かな 瀧澤和治三伏の土むき出しの山ひとつ...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part7
今月はやたらに眠くて、時間があっても何も読めない日が多かった。鮎川哲也『風の証言』角川文庫・1975年《植物公園のあずまや風の茶店で惨殺されていたバレエダンサーと男のサラリーマン。その死体は不自然なまでにねじ曲げられ、顔は異様にふくれ上がっていた。...
View Article「里」2014年1月号
「里」(発行:島田牙城、編集:仲寒蝉)2014年1月号は、特集「堀下翔十八歳八十句」。 しばらく読めずにいたが、ツイッターではすでに話題となっている。 堀下翔は1995年北海道生まれ、旭川東高校から俳句甲子園に2度出場。2013年2月から「里」同人。 愛読書に上がっているのは、星新一等の日本SF、坂口安吾、丸谷才一、遠藤周作等の日本文学。文月悠光、徳川夢声などという名もある。...
View Article「未来図」2014年1月号
「未来図」(発行:鍵和田秞子)2014年1月号から。 特集「角谷昌子句集『地下水脈』」に、篠崎央子、関悦史による句集評掲載。 もう一本の特集は「未来図29周年記念全国大会」。相模野やぐんぐん老ゆる掛大根 鍵和田秞子鴨の陣雨となりたる雪予報言霊を信じし頃や国凍つる今生のしがらみ烏瓜枯るる...
View Article「鏡」第11号(2014年1月)
「鏡」(発行編集:寺澤一雄)第11号(2014年1月)から。紙の鬼わつはと笑ふ十一月 東 直子立冬やミルクプリンの空を刺す脳の色うつしてゐるや冬帽子カレーうどん喰ふ間の釣瓶落しかな 谷 雅子小鳥来るガラス貼りつめ美術館病み上がり出窓にパンの生地ふとらせ 佐藤文香外階段に雪降る線路沿の家玄関を入れば客間や石蕗の花 森宮保子東京の空を埋ずむる熊手かな初しぐれ駅へ五分の製麺所 中村...
View Article「絵空」vol.6(2014年冬)
「絵空」vol.6(2014年冬)から。 この雑誌の場合、刊行「冬」というのは「1月」に当たるらしい。 土肥あき子、中田尚子、山崎祐子、茅根知子の4人の同人誌。数へ唄途中は不明寒に入る 山崎祐子涸沼に置かれ梯子の朽ちてゆく 茅根知子水音や冬日届かぬ巫女溜 土肥あき子初秋刀魚アンデスの塩光らせて 中田尚子 後記から。...
View Article「澤」2014年2月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2014年2月号から。 澤句会二賞(通信句会賞・定例句会賞)発表あり。 主宰の句は、先の宇都宮鍛錬句会の折のものらしい。ゐのししに刺しし石槍柄を放すな 小澤 實石切場の底凍てた戦闘機が見えるか教会の塀大谷石みのむし置く見つめゐる池のおもての春動く 高橋睦郎観音堂にかむさる岩や冷まじき 葛西省子鬼ごっこの鬼ふえてゆく霜夜なり...
View Article「鷹」2014年2月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2014年2月号から。 小川軽舟「湘子が私たちに託したもの――「湘子百句」連載を終えて」を掲載。師・藤田湘子の生涯の作風の変遷を概観している。神楽の夜宇宙さへぎるもののなし 小川軽舟年用意雑巾干して了りけりあかあかと除夜の駅ある怒濤かな球根の一塊の艶冬に入る 奥坂まや聖夜なりあはき影生むパラフィン紙 福永青水海岸に地球儀流れ着きて冬...
View Article「雷魚」97号(2014年2月)
「雷魚」(編集:寺澤一雄)97号(2014年2月)から。冬眠の熊に原子炉遠からず 増田陽一小鳥来る二階にアンディ・ウォーホール 太田うさぎ触れ合はぬやうに群れをり冬の鯉 小島良子夢二忌の曇りときどき雨に傘 小林幹彦消しゴムで消されし一句冬の雲 櫻井ゆかあたらしき眼鏡がほしき寒蜆 竹内弘子鯨骨のまるまる出土して小春...
View Article「ジャム・セッション」第4号(2013年12月)
「ジャム・セッション」(編集発行・江里昭彦)第4号(2013年12月)から。 江里昭彦と、中川智正死刑囚2人の同人誌 第4号のゲストは諏訪洋子。これよりは鶴よ鶴よと髪を梳く 諏訪洋子地虫でて互いに別の海を見る 小学校の臨海学校で瀬戸内海の本島に行った。島の夜や 子河童口あく大(おお)銀河 中川智正 昔、家でよく甘夏を食べた。甘夏は虹めくほどに飛沫(しぶき)かな...
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