2017年5月
青磁社
『木簡』は山口昭男(1955 - )の第3句集。
作者は田中裕明に師事。「秋草」主宰。
鳥の目のぼんやりとある深雪かな
雪達磨天文台の坂道に
水の揺れとはあかときの蜩か
秋すだれ巻き直したる太さかな
正面に軍艦のあり爐を開く
つかのまのねむりのふかき十二月
笑ひたる赤子のごとき雪間かな
蛇の眼の草の色よりつめたきが
まるめてはすこしふくらむ紺水着
砂利道に遠足の列入りけり
一枚の布になりゆく干潟かな
而して祇園祭の雑魚寝かな
面妖に蝗は口を開きけり
水溜みんなきれいや菌山
一本の線より破れゆく熟柿
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。