「円座」(発行:武藤紀子、編集:小川もも子)2015年8月号から。
関悦史「平成の名句集を読む」第6回は、竹岡一郎句集『ふるさとのはつこひ』について。
いづれの日かばばと呼ばれむ春北風 武藤紀子
春北風だんだんうれしくなりにけり
物売りの角曲りてや春深し 中田 剛
噴水の止めば子供のみな消えて 山中多美子
ゆつくりと動く白雲柿若葉 鈴木滋三
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Thomas Dolby - Europa & The Pirate Twins
「円座」2015年8月号
「舞」No.60(2015年6・7月)
「舞」(編集発行:山西雅子)No.60(創刊5周年記念2015年6・7月合併号)から。
記念特集が5本。舞賞発表(受賞=小川楓子)、記念コンクール賞発表、主宰第一句集『夏越』を読む、自選五句とミニエッセイ、創刊五年の歩み。
雉鳩の鳴きつつ寄るや花筵 山西雅子
五臓外され人体模型ヒヤシンス 陰山 恵
白象に似る一木や花満ちて 川瀬朋子
けん玉の少女の腰や春惜しむ 秋津寺彦
大海に大魚の影や春の虹 逆瀬川釣児
春の闇鵺の産婆は忙しき 森 敬子
麗日の石に顔描く遊びかな 小菅幸枝
走ること息をすること冬木の芽 小川楓子(舞賞受賞作品より)
硝子ペン陽炎は手に冷たからむ
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Duran Duran - Girl Panic! OFFICIAL VIDEO (Traditional Video Edit)
「オルガン」2号(2015年夏)
「オルガン」(編集:宮本佳世乃、発行:鴇田智哉)2号(2015年夏)から。
鴇田智哉、宮本佳世乃、田島健一、生駒大祐の4人による同人誌。
座談会2本、「村上鞆彦の『遅日の岸』を読んでみた」、「鴇田智哉からの質問状」を掲載。同人4人の他、後者は福田若之も参加。
テーマ詠は超能力。
あいさつの雨降りそそぎ枇杷と顔 田島健一
噴水の奥見つめ奥だらけになる
部屋は水母の紐の階段つらなれり 鴇田智哉
昼顔のこちらの口のあいてゐる
黒塗の金庫の錆びて夏の蝶 宮本佳世乃
智恵の輪の片方に湧く泉かな
女みな留守の帚木倒れけり 生駒大祐
菖蒲枯れ吊橋燃えてゐるごとし
以下、座談会Ⅱで用いられた「鴇田智哉からの質問状」。
Q1 あなたは俳句を書くとき、どのような読者を想定していますか?
Q2 読者を想定しない場合はありますか?
それはどんな時ですか?
Q3 次の問いはQ1の問いと同じだと考えますか?
「あなたは俳句を、誰に向けて書いていますか?」
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Giacinto Scelsi - Rotativa (1930)
【十五句抄出】東金夢明句集『月下樹』
2015年
友月書房
『月下樹』は東金夢明(1948 - )の第1句集。
東金夢明は「顔」同人、「樫」「蛮」会員。
2009年に「窯変」30句で現代俳句協会年度作品賞。
永遠に止まったままの冬の蠅
棲むたびに蔵書に埋もれ浮寝鳥
一瞬にして夕立のどまんなか
吊橋ですれ違いたる木霊かな
紅葉の胸の谷間を撮るつもり
制服で大白鳥がやってくる
ぞうきんにしてしまいたい象の耳
氷河解け水漬きしままの万国旗
器なき水の激しさ桜桃忌
名月や中から開ける棺のふた
村の名が消える大きなかたつむり
鳥兜毒持つことは静かなり
白神の雪の匂いの赤ん坊
噴水の天辺過ぎてからみだら
白猫は春のけむりになっており
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Herbie Hancock - Full Concert - 08/10/08 - Newport Jazz Festival (OFFICIAL)
「都市」2015年8月号
「都市」(発行編集:中西夕紀)2015年8月号から。
栗山心の「新・俳句月評」は北大路翼句集『天使の涎』について。
ギヤマンや格子戸からの薄日受く 栗山 心
よそ猫も香箱座り目借時 野川美渦
神殿の柱三本雲は夏 星野佐紀
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Jan Lisiecki - Chopin - 12 Etudes, Op 10
「絵空」vol.12(2015年夏)
【十五句抄出】武藤雅治句集『花蔭論』
2015年
私家版
『花蔭論』は武藤雅治(1951 - )の小句集。
武藤雅治は歌誌「月光」会員。句集に『かみうさぎ』他。
『花蔭論』は6月13日から28日までの約2週間の躁鬱的気分変動の産物として出来たという。
はひまはる
根の
くらがりの
眼(まなこ)かな
*
古道を
あゆむに
葉むら
ふいに
さわぎぬ
*
匂ひつつ
湿れる
空や
花の陰(ほと)
*
ひとり来て
ひとり
出て行く
トイレかな
*
鮎川に
鮎が
上れば
死後となる
*
一輪の
花を
かこんで
お弔ひ
*
くらやみに
たこが
たはむれ
はしやすめ
*
全国に
金魚
一匹
夏の闇
*
砂山の
砂に
埋もれて
安保かも
*
慰安夫も
ゐない
ゐないと
兵隊が
*
しろうりを
よく食ふ
ものは
よく
嗤ふ
*
影だけを
残して
花の
伽藍堂
*
くびすぢに
息
吹きかけて
めくら坂
*
山梨に
海を
忘れて
帰宅する
*
昏れて
なほ
須藤徹よ
渚の子
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Ultravox ☮ Dancing With Tears In My Eyes & Vienna (Highest Quality)
【十五句抄出】吉川一竿句集『続大和茶粥』
2015年
本阿弥書店
『続大和茶粥』は吉川一竿(1924 - )の第2句集。第1句集『大和茶粥』(1989年)以後の句から487句を収録。
吉川一竿は阿波野青畝、森田峠に師事、「かつらぎ」特別同人。
《その頃軍隊に入るということは百パーセント死を意味していた。(中略)私の中学時代の同級生には(中略)戦艦大和と運命を共にした友人が四人も居た。》(あとがき)
立秋の門に公案掲げけり
壺焼のことと傾き匂ひけり
障子すぐ閉められ古今伝授の間
原爆忌吾広島に兵たりし
柳散る太極拳の触れずとも
ぬくめ酒添へられ雨の奈良茶飯
伐りし角影くつきりと置かれけり
路地流しゐる数人や風の盆
玉の日の雲を出でけり樹氷林
ふくろふの顔の瞬時に消えにけり
海女小屋に育てし菊の入賞す
銃声の遠ちに谺す薬喰
蹴り甲斐のある大きさの梅雨茸
古き家の棚には古き蝮蛇酒
毒流し我が囮鮎浮かしけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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茶粥の作り方
【十五句抄出】山崎祐子句集『葉脈図』
2015年
ふらんす堂
『葉脈図』は山崎祐子(1956 - )の第2句集。2004年以降の句を収録。
著者は「風」同人を経て、現在は「りいの」編集同人、「絵空」同人。民俗学者。
東日本大震災後、いわき市復興支援活動を始めざるを得なくなった「プロジェクト傳」の東京事務局代表でもあり、山崎さんらの企画による、数次にわたるいわきツアーでは、私もお世話になっている。作品集『いわきへ』(発行:四ッ谷龍)はこのツアーから生まれた。
猿出でて椿の蜜を吸うてゆく
かぶと虫祝詞の席に落ちて来し
フォッサ・マグナ太き銀漢立ち上がる
箱庭の真つ赤な橋の置きどころ
空の罅より風花の生まれしか
春焚火反古をくべれば音変はる
福笑ひどこに置いても目が笑ひ
露踏んでじやんがらの鉦打ちに打つ
蜆汁神保町の灯が好きで
風鈴を百年同じ釘に吊る
獣臭き台風の目の夜空かな
金環蝕果て桟橋に大蚯蚓
火の切つ先なぶり枯菊投げ入るる
復興を言へば激論春焚火
人影へするすると伸び春の波
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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2015.4.26 いわき市立 豊間中学校
【十五句抄出】原田達夫句集『箱火鉢』
2015年
ウエップ
『箱火鉢』は原田達夫(1934 - )の第2句集。2005年以降の句を収める。
著者は「鴫」同人。
目交ぜして軽々かぶる獅子頭
神輿舁く男らはみな半眼に
ルオー展
夏痩せやざらつく肌のイエスの絵
ぎくぎくと危険察知のやんまの眼
月光を欠片となせる鼓かな
こけし談義や土産物屋の箱火鉢
何を言うても笑む母の花の昼
葛の花会津の人と話しけり
えへらえへら赤鱏泳ぐ早さかな
こんなにもしづかにつるむ揚羽蝶
風光る珊瑚礁てふ泡立て器
地蔵の斑花色となる桜どき
斑猫も砂の女ももうゐない
ブリキ缶の雑な鳴子を引いてみる
十二月どぶから湯気が立つてゐる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Japanese Kokeshi Doll Emerging From a Spinning Block of Wood
【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part27
今月は眠気がひどくて、あまり読めず。再読が多い。
装幀的には、川又千秋『天界の狂戦士』、豊田有恒『異次元神話』、田中光二『アッシュ―大宇宙の狼』、ホーガン『ガニメデの優しい巨人』『未来の二つの顔』といった本がみな加藤直之のカバー絵で、他に久々の再読、石川淳『普賢』、開高健『オーパ!』も懐かしい物件。
ブログの仕様がまた若干変わったらしくて、今まで引用部分に使っていたイタリック体が読めた代物ではなくなったため、使うのをやめた。
グスタボ・ファベロン=パトリアウ『古書収集家』水声社・2015年
《ジャーナリスト、編集者でもある言語学者が、北米産ミステリーと60年代南米小説の実験精神を融合させた驚異のデビュー作! 》(「BOOK」データベースより)
フローレンス・ウィリアムズ『おっぱいの科学』東洋書林・2013年
《進化、環境衛生、遺伝子、授乳、がん、豊胸―現代アメリカに生きる女性が文明批評的にからだの仕組みの自然・不自然を科学する、ちょっと気になる「まじめな話」。》(「BOOK」データベースより)
【書考空間】おっぱいの科学/フローレンス・ウィリアムズ (著), 梶山 あゆみ (訳) | TIME LINE-今日のニュースと考えるヒント - TOKYO FM 80.0MHz
宇沢弘文『宇沢弘文の経済学―社会的共通資本の論理』日本経済新聞出版社・2015年
《宇沢弘文の出発点は、社会的弱者への思いだった―。「自動車の社会的費用」「ヴェブレン論」「地球温暖化問題」などの幅広い論考を、到達点である社会的共通資本に即して総括したウザワ・ワールド凝縮の一冊。》
幸田露伴『芭蕉入門』講談社文芸文庫・2015年
《俳諧の味わい方、七部集の概観から個々の句の鑑賞まで。太田水穂らの「芭蕉研究会」の談話筆記をまとめた貴重で大胆・明快な芭蕉論。》
都甲幸治『生き延びるための世界文学―21世紀の24冊』新潮社・2014年
《タオ・リン、アレハンドロ・サンブラらの新鋭から、J・M・クッツェー、トニ・モリスンらの大御所まで。世界文学の「いま」を伝える最速・最強のガイド、待望の第二弾。文句なしに面白い21世紀の24冊の紹介に加え、著者自身の世界文学との出会いを明かすエッセイ、ジュノ・ディアスの未邦訳短篇「モンストロ」を特別収録。》(「BOOK」データベースより)
ヴァージニア・ウルフほか/利根川真紀編訳『[新装版]レズビアン短編小説集』平凡社ライブラリー・2015年
《まだ女性どうしの愛が「口にだせなかった」十九世紀末から二十世紀前半。切なさ、絶望、驚き、そして喜び―女性あるいは男女両方のパートナーを持った女性作家たちが描く、深くて複雑な女どうしの物語十七編。小説を読む幸せが詰まった珠玉のアンソロジー。》(「BOOK」データベースより)
収録作品=マーサの愛しい女主人(セアラ・オーン・ジュエット)/ライラックの花(ケイト・ショパン)/トミーに感傷は似合わない(ウィラ・キャザー)/シラサギ(セアラ・オーン・ジュエット)/しなやかな愛(キャサリン・マンスフィールド)/ネリー・ディーンの歓び(ウィラ・キャザー)/至福(キャサリン・マンスフィールド)/エイダ(ガートルード・スタイン)/ミス・オグルヴィの目覚め(ラドクリフ・ホール)/存在の瞬間(ヴァージニア・ウルフ)/ミス・ファーとミス・スキーン(ガートルード・スタイン)/無化(デューナ・バーンズ)/外から見た女子学寮(ヴァージニア・ウルフ)/女どうしのふたり連れ(ヘンリー・ヘンデル・リチャードスン)/あんなふうに(カースン・マッカラーズ)/なにもかも素敵(ジェイン・ボウルズ)/空白のページ(イサク・ディーネセン)
開高健『オーパ!』集英社文庫・1981年
《世界最大の流域、褐色の甘い海、史前的世界を秘める大河アマゾン。その水底に棲む名、怪、珍、奇さまざまの魚たち。殺し屋ピラーニャ。跳躍するトクナレ。疲れを知らぬファイター黄金魚。そして淡水最大の巨魚ピラルクー。驚きを求めてさまようこと60日、16,000キロ。 解説・菊谷匡裕》 ※裕=ママ、正しくは祐
石川淳『普賢』集英社文庫・1977年(芥川賞)
《頽廃と汚辱にみちた日々を無気力に生きる「わたし」の前に、長い間恋いこがれてきた旧友庵文蔵の妹ユカリが、特高警察に追われ、呪詛にみち、荒んだ姿であらわれる。戯作派といわれる著者が大胆に危機感を現出して、絶望からの再生を描く。第四回芥川賞を受けた表題作の他、処女作「佳人」ほか「葦手」「秘仏」を収録した初期短編傑作集。
解説・佐々木基一》
豊田有恒『異次元神話』集英社文庫・1985年
《深夜の首都高速で南メラニア共和国大統領が超小型原爆で暗殺された。偶然事件を目撃したルポライター・八巻一郎は、強大な核エネルギーを浴び、超能力を持つ異次元市民になった…・。金髪美人の執拗な誘惑、最新兵器を使った大量殺人と次々起こる不可解な出来事は、やがて彼を超能力者集団の凄絶な闘いに巻き込んでいく…・。壮大なスケールで描く長編アクションSF。 解説・川又千秋》
川又千秋『天界の狂戦士』角川文庫・1985年
《月はあまりにも美しく、そして驕慢だった!
月に住む支配者〈天帝〉に妻を奪われ、片腕を斬り落された男、雷。村を追われ、あてどない旅に出た彼を待ちうけていたのは、長く続いた戦争で荒れ果て、死にかけた大地と、狂気の超軍団だった……。
闘いに傷つき、倒れた雷。だが彼は、復讐のため、自らの肉体を捨て去り、サイボーグの超戦士として蘇った!
男の愛と友情、そして復讐の熱き心を、鮮烈なイマジネーションでパワフルに描く、冒険SFの金字塔!》
田中光二『アッシュ―大宇宙の狼』講談社文庫・1980年
《SF界の俊英がおくる、スペース・オペラ+ヒロイック・ファンタジーの傑作。惑星ミロシスの灰の中から復讐を誓って蘇った戦士アッシュ、齢300年に達する観照者ルカン、惑星シャルミラの美貌の精神感応者ルーラの3人は、官能者アミンの力によって3000年前のテス王国の女王を救うため、過去への旅に出る……。》
ジェイムズ・P・ホーガン『ガニメデの優しい巨人』創元SF文庫・1981年
《木星最大の衛星ガニメデで発見された二千五百万年前の宇宙船。その正体をつきとめるべく総力をあげて調査中の木星探査隊に向かって,宇宙の一角から未確認物体が急速に接近してきた。隊員たちが緊張して見守るうち,ほんの五マイル先まで近づいたそれは,小型の飛行体をくり出して探査隊の宇宙船とドッキング。やがて中から姿を現わしたのは,二千五百万年前に出発し,相対論的時差のため現代のガニメデに戻ってきたガニメアンたちだった。前作「星を継ぐもの」の続編として数々の謎が明快に解明される!》
ジェイムズ・P・ホーガン『未来の二つの顔』創元推理文庫・1983年
《レイモンド・ダイアー博士はニューヨーク市立大学で人工知能の研究をしていたが、月面の工事現場で起きた重大な事件のために、その研究の中断を申し渡された。コンピューターが誤った判断を下したため、五人の人間が危うく殺されるところだったのだ。人工知能研究の重要性を信ずるダイアーは、コンピューター管理システムの安全性を確かめるべく、宇宙空間に植民地として建造された巨大宇宙ステーションにおける壮大な規模のシミュレーションを提案した……。ハードSFの第一人者ホーガンが卓越した科学知識を傾けて描コンピューターSF!》
阿刀田高選『恐怖の森』福武文庫・1989年
《何故かは知らねど震えが止まらない。江戸川乱歩、中島敦、島尾敏雄、半村良など13人の作家の怖い話をジャンルを超えて集めました。実存の恐怖、人生の不思議な綾の恐ろしさ、様々な恐怖が横溢する森の中へ一歩足を踏み入れたら、もう抜け出せません。》
収録作品=箪笥(半村良)/老後(結城昌治)/木乃伊(中島敦)/ひかりごけ(武田泰淳)/セメント樽の中の手紙(葉山嘉樹)/くろん坊(岡本綺堂)/芋虫(江戸川乱歩)/マッチ売りの少女(野坂昭如)/大鋏(島尾敏雄)/驟雨(三浦哲郎)/ぬばたま(柴田錬三郎)/蛇(阿刀田高)/ガラスの棺(渡辺淳一)
神林長平『ルナティカン』光文社文庫・1988年
《月面都市の地下深く、楽園を築き、そこに生きる人々―ルナティカン。彼らは、地上に往む月人から隔絶され、蔑視を受けていた…。
巨大企業に利用されてアンドロイドの両親に育てられる少年・ポールは、自分がルナティカンであることを知り、驚愕する。地下世界行きを決意した少年は、冒険に旅立った。珠玉の傑作長編SF!》
田中久文『日本美を哲学する―あはれ・幽玄・さび・いき』青土社・2013年
《移ろう四季の自然と暮らし、人と人との出会いや別れ…、日本人の生はいつも美の発見とともにあった。この国に生きる私たちにとって、美に対する感動は常に自らの存在や世界との関係性をみつめなおす契機となってきた。和辻哲郎、九鬼周造、大西克礼、岡倉天心といった近代日本の知の巨人たちの言葉を通じて、伝統的な美意識や、和歌、俳諧、茶の湯、能、浄瑠璃、建築、仏教美術など数々の芸術美の根底に流れる思想をつかむ。》(「BOOK」データベースより)
太田昌克『日米「核密約」の全貌』筑摩選書・2011年
《深い闇に包まれてきた日米「核密約」―。その存在が指摘されながらも自民党政権は一貫してこれを否定してきた。唯一の被爆国であるにもかかわらず、なぜ日本政府は国民を欺いてまで、米国による核の持ち込みを黙認してきたのか?民主党政権による日米密約調査の引き金を引いたジャーナリストが、日米双方の関係者一〇〇人以上の証言と、膨大な数に上る一次資料を駆使し、その真実に迫る。密約解明の決定版。今なお米国の「核の傘」の下にあるわが国の、将来の安全保障を考える上でも必読の書である。》(「BOOK」データベースより)
ミシェル・フーコー『知の考古学』河出文庫・2012年
《あらゆる領域に巨大な影響を与えたフーコーの最も重要な著作を気鋭が四十二年ぶりに新訳。伝統的な「思想史」と訣別し、歴史の連続性と人間学的思考から解き放たれた「考古学」を開示した記念碑的名著。》
ジャック・デリダ『エコノミメーシス』未来社・2006年
《カントの「美の分析論」の言説を丹念に追いつつ、そこにひとつのポリティカル・エコノミーが作動している内実を、脱構築的読解をつうじて明らかにする。瑞々しく才気煥発な思考が炸裂する1975年の単行本未収録論文。》(「MARC」データベースより)
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』朝日出版社・2009年(小林秀雄賞)
《かつて、普通のよき日本人が「もう戦争しかない」と思った。世界最高の頭脳たちが「やむなし」と決断した。
世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争は
きまじめともいうべき相貌をたたえて起こり続けた。
その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける。
だからいま、高校生と考える戦争史講座。
日清戦争から太平洋戦争まで。講義のなかで、戦争を生きる。》
高銀・石牟礼道子『詩魂』藤原書店・2015年
《韓国と日本を代表する知の両巨人
文学とは何か、人間とは何かについて魂を交歓させ語り尽くした三日間。》
川又千秋『水夢 Swim―不思議小説コレクション』アスペクト・1995年
《「見ろよ、豚が空飛んでらあ」 ピンクの子豚が耳をパタパタさせながらお濠の上を渡っていく…。日常から非日常へうつろう不可思議な印象を残す11篇。》(「MARC」データベースより)
収録作品=ぼくはロボット/大王を待ちながら/路傍の罠/地球空洞説/水夢/アインシュタイン保護区の密猟者/豚が翔んでいる/地獄塾/来たれ、超人類!/企業戦士クレディター/不思議もものき探検隊
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開高健 神秘の氷河湖に謎の巨大魚を追って
「鷹」2015年9月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2015年9月号から。
奥坂まやによる「征きて還らず―竹岡一郎句集『ふるさとのはつこひ』鑑賞」を掲載。
大鉢に蝦蛄茹であげし娶りかな 小川軽舟
海見ゆる席に移りぬ夏館 山本良明
葬儀屋の美男揃ひや朝曇 椰子次郎
ヒロシマの夾竹桃も白かつた 小浜杜子男
弾圧の初めに踏まれ薫るは百合 竹岡一郎
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Beat Furrer - ...cold and calm and moving - ensemble proton bern
「紫」2015年9月号
「小熊座」2015年9月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2015年9月号から。
小熊座創刊30周年記念座談会「俳句を語る」を掲載。
栗林浩「昭和・平成を詠む」連載第2回は小原啄葉へのインタヴュー後編。
蝶を吸う蜘蛛は魂剥き出しに 高野ムツオ
晩年は浜昼顔の波の音 小笠原弘子
帰らざるものばかり見え夏の雨 渡辺誠一郎
象の目は笑つてをらず大夕焼 我妻民雄
惑星のくらい穴から八月来 佐々木とみ子
戦争のほかは忘れて雲の峰 上野まさい
サングラスそこまで来たと立寄りぬ 志摩陽子
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György Ligeti : Requiem - Full concert
「LOTUS」第31号(2015年8月)
「LOTUS」(発行:酒巻英一郎、編集:丑丸敬史・表健太郎・九堂夜想・曾根毅)第31号(2015年8月)から。
特集は「LOTUSプロジェクト《詩と俳句形式》Ⅰ」で、志賀康、表健太郎の評論を掲載。
初夏や草原ひそと阿字の門 豊口陽子(特別作品)
雨あがる硝子の底の薄緑 曾根 毅
玄奘の舌となりけり砂嵐 髙橋比呂子
月射すや石群がりて重なれる 流ひさし
菫見る少年埋め込んだ壁の部屋 古田嘉彦
口中に蝶飼ふをとこ花野宿 表健太郎
天餐や魚文鳥文ひしめきて 九堂夜想
夏野ゆくトーン・クラスターとホワイト・ノイズ 熊谷陽一
草そよぐ香に満たされしわが氷室 三枝桂子
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György Ligeti, Concerto de chambre - Ensemble intercontemporain - Tito Ceccherini
「白茅」第9号(2015年夏)
「白茅」(代表:中田剛)第8号(2015年春)から。
招待作家作品に山口昭男、山本洋子。
特別作品に生駒大祐、田島健一、津川絵理子、永方裕子、村上喜代子、村上鞆彦。
辻を出て辻に入るなり秋の暮 山口昭男
蛍とぶ躙り口より上がること 山本洋子
毛虫また落ちたるところから歩む 中田 剛
山々は白き木の花衣更 坂内文應
眠たさのあやめの橋を斜交ひに 生駒大祐
消える樹のよろこび砂漠から苺 田島健一
クレマチス月の表面よく乾き 津川絵理子
合歓は実にいとほしきもの子の巻き毛 永方裕子
山椒魚食べに秘境の橋渡る 村上喜代子
浮く亀のまはり雨ふる夏の風邪 村上鞆彦
この世ある謎そのままに初鰹 三森鉄治
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Edgard Varèse, Amériques - Ensemble intercontemporain - Matthias Pintscher
「俳句新空間」No.4(2015年夏)
「俳句新空間」(発行:北川美美・筑紫磐井)No.4(2014年夏)から。
ウェブマガジン「blog俳句新空間」の句を紙の冊子にまとめたもの。
筑紫磐井「八月の記憶――従軍俳句の真実」を掲載。川名大との論争の続き。
長崎県軍艦島に潜入タモリ一行 大本義幸
レース編み蓬莱山まで急ぐなり 坂間恒子
来世紀冥王星のかき氷 佐藤りえ
空高き終着駅の岳樺 津髙里永子
氷山の月が溶け出すウイスキー 豊里友行
蜘蛛の囲やウルトラマンの来さうな夜 仲 寒蝉
小突き合ふ少年の恋夏蓬 中西夕紀
無意識に選ぶ卵や稲光 秦 夕美
ひょうたんや世界の外に聖地ある 堀本 吟
初期化せし全身全霊夏百夜 もてきまり
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軍艦島の記録
「若竹」2015年8月号
「若竹」(編集発行:加古宗也)2015年8月号から。
創刊1000号記念特集号。写真復刻版「若竹」創刊号も附録につけた252ページの大冊。
特集は「加古宗也総論」と「四十代の読む鬼城」。
後者には田口茉於、杉山久子、橋本直、山根真矢、榮猿丸、津川絵理子、牛田修嗣、鴇田智哉、関悦史、関根かな、田中亜美、中村安伸、塩見恵介、明隅礼子、小林奈穂、鶴岡加苗、如月真菜、矢野玲奈が寄稿。
別に特別寄稿として「俳句は進化しているか――村上鬼城再読」。小川軽舟、栗田やすし、岸本尚毅、中村雅樹、柴田奈美が寄稿。
軽暖や今も足尾に浄化槽 加古宗也
麦秋や指もて試す研ぎ具合
花葛やかすかにひびく揚水機
鰯雲波止に鯨の神輿置く 高橋冬竹(若竹俳句賞受賞作家競詠)
百名山揃へし古書肆夏に入る 市川栄司(若竹俳句賞受賞作家競詠)
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Mahler : Symphony No.8 / Inoue Michiyoshi - Nagoya Mahler Festival Orchestra