2018年11月
ふらんす堂
『緋の目高』は山本あかね(1935 - )の第1句集。
著者は「百鳥」同人。
頸抱けば眼濡れゐる春の馬
食はれゐる蟷螂の貌しづかなり
読初めの白刃の如き頁かな
許すとは許さるること日脚伸ぶ
薄氷やいまさら乳房再建など
バスタブの一人に広し山眠る
初場所や親方衆も美しう
訪へば円座より声ありにけり
培養室青く灯りて神留守に
風花や手斧削りの扉の重き
アボカドの大きな種や燕来る
梅椿のちヒヤシンス虚子忌かな
鮎の骨泳ぐ形に残しけり
夫に似し人を目で追ふ踊りかな
デッサンの狐百態月を待つ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。