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Channel: 閑中俳句日記(別館) -関悦史-
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【十五句抄出】宇多喜代子句集『森へ』

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宇多喜代子『句集 森へ』2018年12月
青磁社


 『森へ』は宇多喜代子(1935 - )の第8句集。

 著者は「草樹」会員。

 


高々と来て夏蝶の白ばかり


初夢の縁者こぞりて吾に向く


親を喰う梟を見るだけの旅


目の前に羚羊の立つ物語


日もすがら金色をなす枯葎


恩師みな骨格で立つ花野かな


十二月八日のかたちアルマイト


老人に老人の影初詣


   また八月 八句 より一句
汗の身の深みにひそむ火のゆらぎ


   森へ
蛇の手とおぼしきところよく動く


むらぎもの心の一部月色に


八月に焦げるこの子らがこの子らが


死にはせぬといいつつ死んだ烏瓜


森の匂い書庫の匂いに似て晩夏


初湯結構湯気のもやもやも結構

 

 

 


※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。

 

 

 

 

 


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