Quantcast
Channel: 閑中俳句日記(別館) -関悦史-
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1745

【十五句抄出】高岡修句集『剥製師』

$
0
0

高岡修『句集 剥製師』2019年9月
深夜叢書社


 『剥製師』は高岡修(1948 - )の第7句集。

 著者は「形象」主幹、詩誌「歴程」同人。

 

 


死にゆくを倦み花吹雪き眠たげな


火葬されし子の燠に似て遠い野火


影踏みの影きらきらと逃げまわる


炉心棒溶けるがごとく蝸牛


共に焼く大はまぐりの蜃気楼


標本瓶春夕焼けも腑分けされ


キノコ雲の菌糸びっしり国家論


爆心地水の動悸が木を登る


白虹の繃帯で巻く原爆ドーム


自爆テロしろと言うのか立葵


殺意たりしよカンブリア紀の眼の萌芽


アンモナイト渦巻きけぶる夢の跡


日だまりが死海文書を読んでいる


ミラーボール氷湖の匿し持つ色を


ビルのあいだの縊死する空のための縄

 

 

 


※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。

 

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1745

Latest Images

Trending Articles



Latest Images