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Channel: 閑中俳句日記(別館) -関悦史-
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【十五句抄出】白戸麻奈句集『東京(バビロン)の夜空に花火』

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白戸麻奈『句集 東京の夜空に花火』2024年4月
喜怒哀楽書房


 『東京(バビロン)の夜空に花火』は白戸麻奈(1969 - 2023)の遺句集。序文の山﨑十生によると熱中症による急逝であったらしい。。

 著者は「紫」同人だった。

 

 

 

 

 

鏡からはいだしてくる春の雲


春の雷あちらこちらでケーキ切る


ががんぼの深い祈りで割れる海


魂と同じ重さの蝉をとる


シャワー浴ぶ三葉虫を見張りつつ


真空管蜘蛛と交信しようとす


人などに触れられたくもない毛虫


焼けた鮎ここをかじれと腹を出す


オカリナを買ってもらった熱帯魚


入口も出口もない箱秋の声


亀石の解説をする秋の蛇


遺伝子のここが違うの鯨とは


今日もまた海へ帰ろう枯蟷螂


少年はオペラに滝を感じおり


少年の裸はつまりバイオリン

 

 

 

※本書は関係者より寄贈を受けました。記して感謝します。

 

 

 

 


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