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Channel: 閑中俳句日記(別館) -関悦史-
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【十五句抄出】阪西敦子句集『金魚』

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阪西敦子『句集 金魚』2024年3月
ふらんす堂


 『金魚』は阪西敦子(1977 - )の第1句集。跋文:稲畑廣太郎。

 著者は「ホトトギス」同人、「円虹」所属。

 

 

 

 

 

 

子の一人くらゐは消さむ花の山


蜃気楼博士ばかりが現われし


庭園のすべてを聴きて日向ぼこ


金魚揺れべつの金魚の現れし


ナイターの果ててゆらゆら帰りけり


焼藷の大きな皮をはづしけり


立てば花に座してしまへば酔ひの中


受験子のみんな左へ折れにけり


秋灯の終のふたつのひとつ消ゆ


ぼんやりと鮫に遅速やクリスマス


碁は昼のもの花桐は夕のもの


梅雨日曜牛乳ほどの明るさに


夏蝶が渡りて森のにはたずみ


ノーサイド枯野へ人を帰しけり


筍を互ひに提げてすれ違ふ

 

 

 

※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。

 

 

 

 


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