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【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part26
今月は再読が多かった。 装幀が懐かしいのでは河野典生『悪漢図鑑』。70年代以前の新宿を若者の話し言葉で描いた短篇集としては、これと『ルーシーは爆薬持って空に浮かぶ』が双璧か。河野典生は最近電子書籍化が進んでいる。...
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「香天」2015年7.8月号
「香天」（編集発行：岡田耕治）2015年7.8月号から。図書館で涼んでくるという別れ 岡田耕治震えながらプールの授業始まりぬ暗闇の渇きとなりて夏の花階段をのぼってきたるフリージア 橋爪隆子（特別作品）曇天が赤い薔薇から匂いだす 谷川すみれ解釈を勝手に変えて蟻地獄 東金夢明ひそやかに子音を洩らしヒアシンス 久堀博美六月や六林男が立ちし水の中 石井...
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「里」2015年6月号
「里」（編集：中山奈々、副編集：小鳥遊栄樹、同人会長：仲寒蝉、発行：島田牙城）2015年6月号から。姿見に閉ぢ込められて夏帽子 仲 寒蝉（編集長退任兼同人会長就任記念特別作品20句）発泡スチロール曲がらず折れ暮春 喪字男あぢさゐに囲まれてゐる母子家庭かなぶんのかたくまぶしく飛ばずにゐる 佐藤文香蝦蛄といふ貨車に似しもの重ねらる 青本瑞季蜘蛛囲裂き奥坂まやに叱らるる...
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「秋草」2015年8月号
「秋草」（発行編集：山口昭男）2015年8月号から。五月雨の音の定かに蔵の冷 山口昭男さくらんぼだけを残してゐるは誰木一本渡して椅子や夏燕 三輪小春定かとは言へぬ記憶や竹落葉 立川由美子虎杖や戦後も遠く空広く 久下 範瀬戸内のやはらかき風夏に入る 横内正人葱の花小虫入つてそれつきり 髙重京子紫陽花の雨の明るき二人かな...
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「遊牧」2015年8月号
「遊牧」（代表：塩野谷仁）2015年8月号から。ふろしきに包む鳥語と海鳴りと 植原安治塗りたての畦なりコーヒー缶の熱さ 矢野千代子惑星Ａ青葉の深きに棲んでいる 吉野 精受胎聴く五月の金の糸電話 栗林 浩天体に空回りなし葱坊主 黒澤雅代麦秋の発光体となる少女 佐々木幸子聖五月わたしにメタリックな睡り...
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「紫」2015年8月号
「紫」（発行：山﨑十生）2015年8月号から。 巻頭の「龍門集」（主宰を含む同人作品欄）は、一句鑑賞を誌上に連載中だったので今まで省略してきたが、前号掲載句分で私の担当は終了した。虹の骨憲法十三条支ふ 若林波留美よき死者として葉桜にまぎれたり 鈴木紀子指先から劣化はじまる青葉闇 早乙女文子本当は死にたくなかった鯉のぼり...
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「川柳カード」第9号（2015年7月）
「川柳カード」（発行：樋口由紀子、編集：小池正博）第9号（2015年7月）から。 特集は「若手俳人は現代川柳をどう見ているか」で、久留島元、中山奈々、西村麒麟、松本てふこが寄稿。オーダーの刺身は踊り子のヒラメ 山田ゆみ葉私には網棚で寝る夢がある 丸山 進少年が少年攫う四月馬鹿 飯島章友素裸で四角い枠へ飛び降りる 筒井祥文見慣れない主語が砂場に立っていた 湊...
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「鏡」第17号（2015年7月）
「鏡」（発行編集：寺澤一雄）第17号（2015年7月）から。引力をたくはへてゐる椿かな 遠藤 治夜桜に光の重さ加はりぬ 森宮保子端居せる手にドローンのリモコンが 笹木くろえバス停に猫脚の椅子みなみかぜ 佐川盟子千九は素数蛙のめかり時 寺澤一雄夏近しハリセンボンの釣りあがる 東 直子渡廊下は涅槃図を出てからのこと...
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「小熊座」2015年8月号
「小熊座」（発行：高野ムツオ）2015年8月号から。 栗林浩「昭和・平成を詠む」連載がスタート。第1回は小原啄葉へのインタヴュー前編。若葉青葉すべてが隠れキリシタン 高野ムツオ万緑の底ひに村の灯りゐる 土見敬志郎梅雨の星平らになりし町の跡 小笠原弘子幼なくて蕗の広葉によこたわる 佐々木とみ子飛込みのやうな構へや髪洗ふ 津髙里永子人殺す明日が来そう夕蛍...
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「陸」2015年8月号
「陸」（発行：中村和弘）2015年8月号から。ベトナムの泥を浴びたる大蜥蜴 中村和弘雲の峰飛行機雲の刺さりおり蛇衣を脱ぐ城跡のしづけさに 淺沼眞規子スマホ画面を黒く休ませ花筵 加藤明虫悶絶の黒点となる揚雲雀 石川真木子一気に夏パエリヤの塩やや強し 村山安子木蓮の夜の兵士のほろほろと...
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「鷹」2015年8月号
「鷹」（発行：小川軽舟）2015年8月号から。 小川軽舟の講演録「藤田湘子が遺したもの」後篇、黒澤あき緒・髙柳克弘対談「五人会賞、兆戦の時」掲載。 黒澤あき緒「俳句時評 読みを鍛える」は、機関誌「インサイトゥー」にまとめられた現代俳句協会青年部シンポジウム「読まれたかった俳句」について。草合せ古き草の名喨々と 小川軽舟一階に管理人住む蚊遣かな妄想は老の逸楽飛花落花...
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「堊」2015年8月号
「堊」（発行：高石直幸）2015年8月号から。灌頂のあとの空海花あふち 高石直幸明け易きもののひとつに常備薬 大隈チサ子抱卵の鳩ふくみ啼く聖五月 浜崎芳子 *****************************************************Sonny Rollins - St. Thomas
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【十五句抄出】江渡華子句集『笑ふ』
2015年ふらんす堂 『笑ふ』は江渡華子（1984 - ）の第2句集。序文：小川軽舟。栞：池田澄子、櫂未知子。 江渡華子は「鷹」所属。 装幀の野口ま綾は江渡華子、神野紗希とともに「スピカ」を運営している野口る理の実妹。...
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「らん」No.70（2015年夏）
「らん」（発行・鳴戸奈菜、編集・五十嵐進、西谷裕子、皆川燈）No.70（2015年夏）から。 著作集に未収録だった永田耕衣の文章「月士論」（「鶏頭陣」1936年1月号掲載）分載はこの3回目で完結あり。「月士」は後の中島斌雄。 特集は「詩の原郷へ 永田耕衣／清水昶」。さみだれのにおい緑色研究は 皆川 燈（前書き略）傘寿には鰻天ぷら茶碗蒸し 海上晴安暗く深くグラスの薔薇はさめてをり...
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「ジャム・セッション」第7号（2015年6月）
「ジャム・セッション」（編集発行・江里昭彦）第7号（2015年6月）から。 江里昭彦と、中川智正死刑囚2人の同人誌。 中川智正「私をとりまく世界について（その5）」、江里昭彦エッセイ「声に、会いにゆく（前）」「一句鑑賞・小宮山遠句集『林棲記』より（前）」掲載。 第6号のゲストは山口剛。戦前の景色山頭火がぼやける 山口 剛 岡山の商店街母は銀ビル祖母は富士やの秋刀魚買う...
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「未定」第99号（2015年7月）
第2次「未定」（編集発行：未定編集部＝高原耕治）第99号（2015年7月）から。 特集は「多行形式の磁場」。 特別評論として、川名大「筑紫磐井の執筆モラルを糺す―嘘で固めた誹謗と論理のすり替え―」を掲載。「豈」57号の「発行人よりお詫び」への反論。冷えゆく脳髄天心に独楽唸りゐて 高原耕司 ＊堅し密室おお 非在の王よ柱の飛翔術を印可せよ 高原耕司...
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「井泉」第64号（2015年7月）
歌誌「井泉」（編集発行・竹村紀年子）第64号（2015年7月）から。 招待作品は暁方ミセイの詩「生態系」。 リレー小論「今、私が表現したいもの」、今号は山崎聡子、喜多昭夫、さとうますみ。春分の墓参の友の土産なる〈土佐日記〉とふ高知の銘菓 松野登喜子ごぉーという音に扉の開きたり体感室の床の揺れをり 森 陽子その名さえおぼろとなりて大福は苺に限ると言ひし人はや...
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