「秋草」2015年11月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2015年11月号から。手を置けば岩つめたかり今朝の秋 山口昭男水底へとどく日の先鳥威蛇衣を脱いで鏡に薄日さす 三輪小春をかしくて悲しままこのしりぬぐひ 桑山文子葛たぐる青空あをきまま暮れて 橋本石火二階窓おほふばかりの木槿かな...
View Article「紫」2015年11月号
「紫」(発行:山﨑十生)2015年11月号から。十四歳の学徒動員と黒い太陽と 関口晃代感情に糸ある不思議秋立てり 依田壽子八月や兜太の揮毫は包囲せり 福島ときみ *****************************************************レスピーギ「ローマの松」ニューヨークフィル
View Article「鷹」2015年11月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2015年11月号から。 第11回星辰賞発表あり(受賞:大井さち子)。夕闇に野菊あかるき林かな 小川軽舟遺句集に奥付ありぬ天の川 細谷ふみを原子炉は水を欲しがる法師蝉 山内基成凍壁に祀り鹿首七十五 大井さち子(星辰賞受賞20句より)*****************************************************European...
View Article「港」2015年10月号
「港」(発行:大牧広、編集:折原あきの)2015年10月号から。つくづくと書庫欲しかりき秋彼岸 大牧 広豊年や坊やのやうな議員居て通草どう手繰りよせても戦前へ 衣川次郎どの秋を曲がりても婆団地老ゆ同齢の日焼け老人反り合はず 尾関乱舌扇風機ときに昭和の黒き風 浅見良男汗のデモ叫び慣れない人も叫び...
View Article豆句集『みつまめ』その七粒目(2015年立冬号)
豆句集『みつまめ』その七粒目(2015年立冬号)から。 参加者は井上雪子、梅津志保と吉野裕之。膝をつくdemocracyや秋黴雨(あきついり) 井上雪子僕たちが静かに身体にゐて立冬多国籍スパイス並ぶ炎暑かな 梅津志保 *三人が冬の話をしてゐたり 吉野裕之*****************************************************Mahler -...
View Article「小熊座」2015年11月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2015年11月号から。緑夜あり棄牛と知らぬ牛の眼に 高野ムツオ(「福島原発二十キロ圏内にて二十句」から)夏雲が供花か棄牛の頭蓋骨夏草に餓死せし牛の眼が今も無尽蔵なり汚染土も万緑も峯雲や家を守るは家霊のみ牡蠣眠る死霊の海に抱かれて 浪山克彦霧深しもともと誰もをらぬゆゑ 津髙里永子丘海老と言うてイナゴを差しだされ 森田倫子あるだけの庖丁を研ぐ黴の家...
View Article「陸」2015年11月号
「陸」(発行:中村和弘)2015年11月号から。鶏頭を抜けば父死す予感かな 中村和弘穂芒の忍び入りたる豚舎かなあらためて聴く玉音の暑さかな 小菅白藤敗戦忌遺骨を待つて七十年 中村仿湖曼珠沙華あしゆびは火をなぞりつつ 佐々木貴子*****************************************************Depeche Mode - Shake The...
View Article「塵風」no.6(2015年寒露)
「塵風」(発行:斉田仁)no.6(2015年寒露)から。 約2年ぶりの発行。特集は「駅」。蚊が止まる尻尾が生えていたあたり 井口 栞あゝあの人の墓を洗つてやらう 伊豫つばくらめ小さき椅子で麺すする 笠井亞子地面から毛の生えてゐる文化の日 小林苑を運命論柿にべったり柿の蔕 斉田 仁 かの夏を想へば菅井きん状のものが記憶の襞に滲み出す壁に日の影を映して金魚鉢...
View Article「里」2015年9月号
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2015年9月号から。階段に並べば音符文化祭 黒岩徳将(招待作品15句から)文化の日パン屋の奥の黄のソファー直葬の烟の父と夜霧かな 正木美和衣被男女の機微に疎きかな 瀬戸正洋冷酒で河原の記憶共にせり 九里順子...
View Article「群青」第9号(2015年9月)
「群青」(発行:櫂未知子・佐藤郁良、編集:三村凌霄・大塚凱)第9号(2015年9月)から。 仲寒蝉の俳句時評は北大路翼句集『天使の涎』と市堀玉宗句集『安居抄六千句』について。 永山智郎の「句集を読む」は村上鞆彦句集『遅日の岸』について。八月や火傷しさうな町を欲り 櫂未知子高々と帰帆のごとく捕虫網 佐藤郁良マネキンのごとく向日葵群れてをり 渡邊有晴六月の切手に幹の味少し...
View Article【十五句抄出】井口時男句集『天來の獨樂』
2015年深夜叢書社 『天來の獨樂』は文芸批評家・井口時男(1953 - )の第1句集。 解説:吉田文憲、室井光広。軒下に素性あやしき神もゐて月冴えざえと我を歩ます通夜の坂濡れてなほ鐵やはらがず春の駅金環蝕地に青すすき花あざみ大橋脚空缶潰す生もあり...
View Article「翔臨」第84号(2015年10月)
「翔臨」(編集発行:竹中宏)第84号(2015年10月)から。 中田剛「芭蕉の句について」他を掲載。 磯東風に長身を折り馬頭人 竹中 宏朱の塔があつてもなくても滝の丈空をゆく船団にある紅葉の紅 小林千史吾に見えて彼に見えざる蜃気楼 百尾庸子「戦争未亡人です」と百歳生身魂 小笠原京幕間の邂逅にして花冰 島田刀根夫人間の音を嫌ひぬ蝮、さへも...
View Article「連衆」No.72(2015年10月
「連衆」(編集:谷口慎也)No.72(2015年10月)から。 今号の巻頭言は清水滋生。東方に戸を立てかけて桃啜る 柿本多映(招待作家)曼珠沙華よりも怖ろし横恋慕蘭鋳の正面といふ奇妙な町 西原天気(招待作家) 茅場町あたりのビルのそのうへを反重力の清川虹子 岩塩を削るターヘルアナトミア 松井康子(特別作品)心室のこれが合鍵ジムノペディ 夏木...
View Article「草樹」第60号(2015年11月)
「草樹」(発行:吉田成子)第60号(2015年11月号)から。 白菊の鉢にはじまる新居かな 宇多喜代子惑星や大暑の夜の皿光る 丸山景子船笛の大きくゆがむ台風過 三輪恒子原発の風下にをり原爆忌 神 久美子ざり蟹の諸手を挙げて運ばるる 杉浦圭祐金亀子とぶ日の中へ日の中へ 鈴木曜子何億の人に一つの月涼し 瀬川照子蝸牛帰りは道を変へにけり 上田千恵子黒を着て急ぐ二人の白日傘...
View Article「澤」2015年8月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2015年8月号から。紫雲英田をつらぬける川光りをり 小澤 實風船を割るや少年尻乗せて八月九日死に損ね日々老深し 高橋睦郎(季語練習帖)毛虫の糞ザラリと踏みて汝が家に 片岡昌子吹き飛ぶやバケツ植田のど真ん中 竹村翠苑五人ゐて二人裸や宿の昼 川上弘美夏の夜や美女率ゼロの六本木 栗生焼きソーセージ切り目膨るるこどもの日...
View Article「澤」2015年9月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2015年9月号から。皮靴を焼き捨ててあり草いきれ 小澤 實パチンコ屋灯れる町に帰省せしこの村の人失せ果てぬ秋櫻 高橋睦郎(季語練習帖)蠅の上にはへ重なりぬ蠅取紙 水谷り得子ビール缶握りつぶすや姉焼く間 結城あきくちなはの肉のあかるし轢かれたる 中村 麻春セーターの胸にシンバルひたと止む 生井敏夫マンホール縁取る土や草萌ゆる...
View Article「澤」2015年10月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2015年10月号から。巨人われ茫と立ちをり蟻の列 小澤 實松の木の高きに鋏忘れけり 高橋睦郎(季語練習帖)夏痩せて鼻梁高しといはれけり 磯貝一沙市立つや鉄パイプ組み葭簀張り 髙橋美穂子夏休みのしりとり青いもの尽くし 加納 燕国会前夏「民主主義つてなんだ」「コレだ」 釜野 愛どうしたら蓮の花になれますか 限果...
View Article【十五句抄出】大牧広句集『正眼』
2015年俳句四季文庫 『正眼』は大牧広(1930 - )の第8句集。詩歌文学館賞、与謝蕪村賞、俳句四季特別賞受賞。 本書はその廉価版で、親本は2014年刊行。...
View Article【十五句抄出】岡田一実句集『小鳥』
2015年マルコボ.コム 『小鳥』は岡田一実(1976 - )は第1句集。これは私家版だった『小鳥』を第2句集『境界 -border- 』刊行後に新装復刊させたもの。 岡田一実は現在「らん」同人、「小熊座」所属。...
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