「ハンザキ」2018年2月号
「ハンザキ」(発行編集:橋本石火)2018年2月号から。 土間ひとつへだてて海や狩の宿 橋本石火 通勤の中の一人の黒マスク 高橋ちづる 鉱山のすそに大根干しにけり 山中 綾 廃材に聖夜の飾り村工場 森 喜世子
View Article「儒艮」vol.23(2018年2月)
「儒艮」(編集発行:久保純夫)vol.23(2018年2月)から。 自ずから碗より溢れ茸飯 久保純夫 サファイアの龍頭を好む男たち 数え日のオムレツひとつチーズ入り 雪を見るための特急券二枚 岸本由香(招待作品) 生ハムを薔薇のかたちに降誕祭 乱数発生寒卵に触れてより 原 知子(招待作品) サーカスの肉体美観る朧の夜 久保 彩(招待作品) バケツに菊いっぱい母の性愛 曾根...
View Article「パピルス」2018年1月〈春号〉
「パピルス」(代表:坂本宮尾)2018年1月〈春号〉から。 創刊号。 銅版画月の光に照らされて 坂本宮尾 関ヶ原荒地野菊の吹かれ咲く 山下美夜子 避難とは家捨つること蚯蚓鳴く 高橋雪子
View Article「舞」No.85(2018年1月)
「舞」(編集発行:山西雅子)No.85(2018年1月)から。 向かひ合ふ一対の椅子クリスマス 山西雅子 はるばる台風めがけて集まつて無口 小川楓子 ターナーの海に逆光鶴渡る 広沢竜邦
View Article「鷹」2018年2月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2018年2月号から。 安ければ速き床屋や都鳥 小川軽舟 息白く点呼鋭く自警団 加藤静夫 木枯が闇にのたうちまはりゐる 南十二国 ふところに拳銃欲しき秋の暮 髙柳克弘 ゴジラへと戦車は枯野均しゆく 竹岡一郎 悠然と尺余の鯉や七五三 古屋徳男 炭に火のまはりゆく音外待雨(ほまちあめ) 大西 朋
View Article【十五句抄出】加山紀夫句集『螢川』
2018年1月角川書店 『螢川』は加山紀夫(1932 - )の第1句集。序文:武藤紀子。 作者は「晨」「円座」同人。 冬の夜や風は砂丘を動かしつ 大いなる幹にふれたり初詣 湖へ道の傾く初雀 松手入海に日陰のなかりけり ごきぶりも草色なりし昼の夢 梟の眠りしままに売られけり 牛も馬も眼に力夏の月 かたつむりむかし海鳴り聞こえしと 日陰より日向に出でて冬の水 白杖を怖るるこども彼岸寺...
View Article【告知】福田若之×関悦史 「悦子の部屋 in 根岸・西念寺 自生地のはずが寺中でごろ寝」
週刊俳句の方にもすでに同じ内容の告知が上がっていますが、福田若之さんとトークイベントをやりますので、ご都合つく方はどうぞ。 * 3月4日(日)『自生地』刊行記念第一句集『自生地』(東京四季出版)を刊行した福田若之さんにいろいろ聞くトークイベントを開催します。西念寺の本堂をお借りし、後半は出演者ともども、来場された方々にも全員寝っ転がっていただいてごろごろお話しする予定です。...
View Article【告知】朗読イベント「Support Your Local Poet 番外編」他
来たる2月18日(日)、朗読イベント《Support Your Local Poet 番外編「川口晴美と、詩と遊ぶ~『Solid Situation Poems』発売記念」》というのに出ます。詩人・歌人・俳人入り乱れての、虚構の特殊な状況ばかりを描いた作品の朗読会。私は「女子校生」になりきって作った句を読みます。「現代詩手帖」に発表した後、『Solid Situation...
View Article【十五句抄出】津田ひびき句集『街騒』
2018年2月ふらんす堂 『街騒』は津田ひびき(1942 - )の第2句集。帯10句選:行方克巳。 作者は「知音」同人。 長き夜の祈りはひとつ祈りけり 新米を噛みしめ噛みしめ予後の子と 肉滅ぶごと鶏頭の朽ちにけり 春キャベツ顔の大きな夫帰る 金魚田の風さざなみを赤くして 屯して少年ひとりひとり晩夏 よその子の我が家のごとく昼寝せり 名画座に老人集ふ十二月 秒針のよく働いて冬に入る...
View Article【十五句抄出】大葉二良『sleeping rhinoceros』
2018年1月ふらんす堂 『sleeping rhinoceros』は大葉二良(1944 - )の英日対訳句集。 作者は「銀化」「燎」を経て無所属。第1句集『吊忍』あり。 羅府よりの嘘字まじりの賀状かな 十字架の傾いで風の二月かな 水の面に淡雪触るる音ありぬ 初蝶来さなぎの匂ひこぼしつつ 軍艦のごとき聖堂よなぐもり 鄙(ひな)駅に見送る春の日傘かな カメラ向け花菫踏む、弟よ...
View Article【十五句抄出】山田佳乃句集『波音』
2018年2月ふらんす堂 『波音』は山田佳乃(1965 - )の第2句集。 作者は「ホトトギス」同人、「円虹」主宰。 ダイビングクラス盛況ハイビスカス 肖像画みなこちら向く秋思かな 碑の文字に棲みつき雨蛙 エメラルド色サイダーも潮風も フリスビー逸れて水着の駆けてくる 走馬灯影の逃げゆく指の先 入国の列に並びて御慶かな 初景色車窓三枚分の富士 花菖蒲きれいなこゑとすれちがふ...
View Article「都市」2018年2月号
「都市」(発行編集:中西夕紀)2018年2月号から。 創刊10周年記念号。 百景のはじめや東風の千住にゐ 桜木七海 ひとつ目のトマト赤らむ朝来たる 金子菜園 百合鷗紐と大書の店暗き 中西夕紀
View Article【十五首抄出】髙坂明良歌集『風の挽歌』
2014年12月月光の会 『風の挽歌』は髙坂明良(葛原りょう、1978 - )の第1歌集。 作者は、俳句では第4回芝不器男俳句新人賞対馬康子奨励賞受賞。 ばらばらの雨の行方はたれも知らないただ俺の臓腑は豪雨 彼岸花に火を点ずれば一族が手花火持ってわれを囲みぬ 涯(はたて)から君の微笑む陽を幾度わたしは見送りしてきただろう 赤ん坊の正視ひとつに崩されて俺の荒野に揺れる菜の花...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part58
眉村卓の新刊『夕焼けのかなた』、長年愛読してきた作家なので買ったが、最近の本に多い、こういうイラストの装幀、どうも好きにはなれない。 今月も何も読めない日が多かった。...
View Article【十五句抄出】岡崎長良句集『祭の子』
2014年6月ふらんす堂 『祭の子』は岡崎長良(1922 - 2014)の第2句集。帯文:小川軽舟。 作者は「鷹」同人。 鼻に藁つけて仔馬の立ちあがる 村百戸入江の奥や桃の花 血豆見せ手柄顔なり祭の子 秋燕や島から島へ長き橋 入口のわからぬ寺や日雀鳴く 道の辺に鮎を焼きゐる郡上かな 寒の顔衣裳戸棚の小鏡に 抽斗に蜻蛉の化石天の川 三川の合ひて桜の盛りかな 古書を得て花の夜道を帰りけり...
View Article【十五首抄出】髙橋みずほ歌集『白い田』
2018年2月六花書林 『白い田』は髙橋みずほ(1957 - )の歌集。 飛行機の雲ゆるゆるとめぐりだすような風もつ老いというもの ゲリラとわかれて山からおりてきた父の戦後は飛沫の湿り 信じるは透明ガラスのくだけたるほそき破片が光るよ 見えぬもの読み取ってゆく韻文のことばのような植物生理 ポプラ並木の葉の風をうけながら胃に流す冷や茶漬け ピンクの靴はいた青い人間がいた細道に菜の花が咲く...
View Article【十五句抄出】塩野谷仁句集『夢祝』
2018年3月邑書林 『夢祝』は塩野谷仁(1939 - )の第8句集。 作者は「遊牧」代表、「海程」同人。 冬の野の前衛として一輛車 懐手いま深海の火山噴く 早春の夾雑物としてけむり 枇杷熟るる頃か研師のくる頃か 朝刊に起ち上がる象明日は夏至 睦月にはけむり訪ねん木に登らん うしろにも青空はあり血止草 雁渡る夜は鏡のなか覗く テレビの象から短夜がやってくる 人消えて次の人くる大夏野...
View Article「セレネッラ」第15号(2018年3月)
ネットプリント誌「セレネッラ」(編集:中島葱男)第15号(2018年3月)から。 ゲストに後閑達雄が参加。 当番の子が菜を運ぶ春の雪 金子 敦 三本目の触覚生える春の風邪 中山奈々 水温むヒマラヤの屋根輝きて 中島葱男 アパートの廊下を走る恋の猫 後閑達雄
View Article【十五句抄出】瀬戸内寂聴句集『ひとり』
2017年5月深夜叢書社 『ひとり』は瀬戸内寂聴(1922 - )の第1句集。 作者は作家・僧侶。本書で星野立子賞。 小さき破戒ゆるされてゐる柚子湯かな 柚子湯して逝きたるひとのみなやさし 寂庵の男雛は黒き袍を召し 氷柱燦爛(さんらん)訪ふ人もなき草の庵 二河白道(にがびやくどう)駈け抜け往けば彼岸なり 子を捨てしわれに母の日喪のごとく 秋時雨烏帽子に似たる墓幽か ひと言に傷つけられしからすうり...
View Article【十五句抄出】木本隆行句集『鶏冠』
2018年3月ふらんす堂 『鶏冠』は木本隆行(1969 - )の第1句集。 作者は「門」同人。 三人の日傘のひらく日本橋 詩を読まな水一杯と雲の峰 少年老い易くきちきち逃がしたり 一月の海の向かうに海のあり 空席に花束置きぬ卒業生 木偶の首ねぢれてゐたる残暑かな 子がゐればこの子くらゐか鰯雲 すだち絞る古稀と不惑の親子かな ただいまと言へる家あり金木犀 色を誉めかたちをほめて毒きのこ...
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