【十五句抄出】行方克己『世界みちくさ紀行』
2015年深夜叢書社 行方克己(1944 - )の紀行文集『世界みちくさ紀行』から。 初めはカメラが主であったのが、次第に句作が増えていく。 概ね一人でツアーに参加しての旅行なので、同行者といったものはいないことが多く、旅先の予備知識もあまり仕込まないで行くらしい。 初旅のオリーヴ畑行けど行けど スペインスコールや廃墟いましむアナコンダ カンボジア民といふ髭面往き来冬の暮...
View Article【告知】「ふらんす堂通信」144他
最近出たものの告知をまとめて。 「ふらんす堂通信」144に、去年10月13日に紀伊國屋書店新宿本店で、鴇田智哉、榮猿丸と一緒に出たトークイベント「SST俳句大解剖!」の模様が座談会形式で収録されています。 連載「BLな俳句」は9回目。 * 「WEP俳句通信」vol.85が筑紫磐井『戦後俳句の探求』の特集を組んでいて、そちらには「筑紫磐井『戦後俳句の探求』散策」というのが載っています。...
View Article【十五句抄出】岩崎喜美子句集『一粒の麦』
2015年角川学芸出版 『一粒の麦』は岩崎喜美子(1930 - 2014)の第3句集にして遺句集。 岩崎喜美子は「沖」「門」同人。 昨2014年6月10日、この句集の選句を担当した鳥居真里子との電話から2時間後、急逝されたという。...
View Article豆句集『みつまめ』その六粒目(2015年立夏号)
豆句集『みつまめ』その六粒目(2015年立夏号)から。 参加者は井上雪子、梅津志保と吉野裕之。古柱背もたれにして桜かな 梅津志保八重桜咲くねむたさや其処ここに 井上雪子 *花冷えの非常階段からふたり 吉野裕之 *****************************************************Pat Metheny Group: The Gathering...
View Article「白茅」第8号(2015年春)
「白茅」(代表:中田剛)第8号(2015年春)から。 招待作家作品に千葉皓史、高山れおな。 特別作品に井上弘美、田代草猫、立村霜衣、日原傳、宮本佳世乃。向うにも電車を見る子春の昼 千葉皓史霾るを仰ぐがごとし金の事 高山れおな冬をはりたるらし川面皺だらけ 中田 剛風信子どの子ともなく唄ひをり 坂内文應春の鮒追ひ詰めて水きらめかす 井上弘美軒先に木舟吊つたる雪間かな...
View Article【告知】第3回攝津幸彦記念賞作品募集
肝心な告知を忘れていた。 〆切が10月末だから5ヶ月以上先の話になるが、「豈」創刊35周年記念の、第3回攝津幸彦記念賞作品募集というのがあったのだ。 今回は評論は無しで、作品30句の募集のみ。 私も選考に加わることになった。 受け付けるのは郵送だけで、メール不可らしい。・内容 未発表作品30句(川柳・自由律・多行も可)・締切 平成27年10月末日・応募...
View Article「鷹」2015年6月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2015年6月号から。 大石香代子×黒澤あき緒対談「星辰賞に応募しよう」他を掲載。新しき街に寺なしチューリップ 小川軽舟歴史家は夕暮眺め春惜しむ春愁や駿馬つぶさに見たる日の 布施伊夜子全員を容れて船発つ朧かな 奥坂まや人をらぬ未来風船ふはふはと 髙柳克弘吾子ほどの歳の人恋ひ蘆の角...
View Article「LOTUS」第30号(2015年4月)
「LOTUS」(発行:酒巻英一郎、編集:丑丸敬史・表健太郎・九堂夜想・曾根毅)第30号(2015年4月)から。 特集は吉村毬子句集『手毬唄』評。澤好摩、長澤ちづ、田中亜美、北野元生、表健太郎。飛龍とて未刊の神ぞ弦の月 救仁郷由美子(特別作品)名著のように後宮に速雨(はやさめ) 高橋比呂子(特別作品)もじずりの瞬時渋りや笠の雲 志賀 康飛ぶ靴の中は微塵ぞ雪の渓...
View Article「円座」2015年6月号
「円座」(発行:武藤紀子、編集:小川もも子)2015年6月号から。 関悦史「平成の名句集を読む」第5回は、藤田湘子句集『神楽』について。薄墨の寂しさ冬の水にあり 武藤紀子拳握れど冬枯のすすみゆく春の鶏狭きところを行き来する 中田 剛「つ」てふ駅いま春燈のともりたり 近藤直子通るのは子供たちだけ蝌蚪の紐...
View Article【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part24
おととい日本近代文学会春季大会を聴きに東大駒場キャンパスに行って、発表者の青木亮人さんらに会ってきたが、夜飲んでいるうちに地震があって山手線等が全部止まり、帰れなくなってしまった。 急遽、友人の家に泊めてもらったが、その友人が翌日早朝出勤。...
View Article「鬣」第55号(2015年5月)
「鬣」(代表:林桂、編集:水野真由美)第55号(2015年5月)から。 第13回鬣TATEGAMI俳句賞発表あり。受賞は『桂信子文集』と岩淵喜代子『二冊の「鹿火屋」――原石鼎の憧憬』の2点。 特集は、《林桂句集『ことのはひらひら』》《林桂句集『雪中父母』》。トルソーの笑い転げる蕨摘み 後藤貴子朝顔(あさがほ)や少年(せうねん)ばかり憂(う)きはなき 林 桂雨の運がを黒いコートが流れていく...
View Article「船団」第105号(2015年6月)
「船団」(代表:坪内稔典)第105号(2015年6月)から。 特集は「ねじめ正一の言葉」で、南伸坊・ねじめ正一の対談ほか。球場にベースみたいなお化け出る ねじめ正一野茂の目はちらと輝くクジラの目虚無主義とバット一本冬籠りプラトンと名づけて飛ばすしゃぼん玉 坪内稔典*****************************************************Der...
View Article「陸」2015年6月号
「陸」(発行:中村和弘)2015年6月号から。ジュラ紀より骨の突き出て春暑し 中村和弘円墳に巨木の生きて端午かな狼を祀りて大き柏餅アイドルの目玉大きや木の芽風 松本道宏てのひらに春光こびりつきし黙 佐々木貴子*****************************************************Manu Katché "Song For Her" from the...
View Article【十五句抄出】松尾あつゆき『原爆句抄―魂からしみ出る涙』
2015年書肆侃侃房 松尾あつゆき(1904 - 1983)の『原爆句抄』が復刊された。 松尾は「層雲」所属の自由律俳人で、句集の序文は荻原井泉水が書いている。 八月九日被爆、二児爆死、四才、一才、翌朝発見すこときれし子をそばに、木も家もなく明けてくるすべなし地に置けば子にむらがる蠅かぜ、子らに火をつけてたばこ一本 子の母も死す、三十六才くりかえし米の配給のことをこれが遺言か...
View Article「澤」2015年6月号
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2015年6月号から。ベートーヴェン自筆書簡も花の昼 小澤 實父の日の父悉く徘徊す 高橋睦郎(新竪題)コクトー自画像目は魚の形ミモザ散る 森美代子浅蜊煮れば小さき蟹をりそも食ひぬ 天野正子ロマネスコなる冬野菜東京産 谷口満寿子実物大脳の模型や茂吉の忌 宮田應孝ぶらんこの女児こぐでなくゆづるでなき 原...
View Article「遊牧」2015年6月号
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2015年6月号から。珈琲はぬるめに花は散り際に 松戸 圭飛花落花真っ只中にいて無才 髙野礼子紫木蓮水ももらさぬ人でした 金子斐子シースルーのエレベーターや海市立つ 栗林 浩藤の昼ポルトガル語の胸豊か 黒田 崖椿落ついまむかしなき暗がりに 塩野谷仁海底に戦艦廃る春の夢...
View Article「都市」2015年6月号
「都市」(発行編集:中西夕紀)2015年6月号から。参禅に茹でたて若布持ち来たる 中西夕紀料亭の大き壺より枝垂れ梅 栗山 心文字化けのメールで来る御慶かな 岩原真咲ビル影を縫ひて大蛇泳ぎ来る 鈴木ちひろ(特別作品)春菜畑鉛筆ほどにスカイツリー 盛田恵未*****************************************************Double -...
View Article「小熊座」2015年6月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2015年6月号から。水底と思い白梅開き出す 高野ムツオ被曝の山百を連ねて花の山地震大国花冷にまた一震え東京のどこも絶壁飛花落花 我妻民雄濁流のために立ちたる山桜 渡辺誠一郎水仙の雨にうたれて師弟あり 佐々木とみ子卒業す拍手を光る波として 松岡百恵恋猫のために宇宙の闇があり 佐藤成之アンモニアの略なり安は白牡丹...
View Article「季刊芙蓉」2015・夏
「季刊芙蓉」(編集:照屋眞理子、発行:「季刊芙蓉」俳句会)2015・夏から。 初見の雑誌。奥付に「創刊:須川洋子」の文字。計画停電ありきかの日の春の暮 照屋眞理子祖霊らは死後に飽き果て日の永き春風や猫にほのかな記憶力療舎窓よりの「モルダウ」鳥曇 呉竹弓夫(「清瀬・全生園二句」の前書があるうちの一句)書架に立つ懐中電灯二月尽 近藤さちこ初日いま沖の巨船の輝けり...
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