【雑録】このひと月くらいに読んだ本の書影 Part8
今月もあまり読めず。 徳間文庫版で読んだ都筑道夫『未来警察殺人課』は来月、創元推理文庫からシリーズ全作をまとめた一巻本が復刊される。 伊藤桂一『静かなノモンハン』などは、今こそ読むべき時なのだろう。あるいは星新一『人民は弱し官吏は強し』なども。レイ・ブラッドベリ『黒いカーニバル』ハヤカワ文庫・1976年《幻想の魔術師、抒情の詩人が初めてこの世に姿を現わした記念碑的短篇集『ダーク・カーニバル』。...
View Article「儒艮」vol.4(2014年2月)
「儒艮」(編集発行:久保純夫)vol.4(2014年2月)から。 松下カロの齋藤愼爾論「断念する言葉」等を掲載。 久保純夫以外は全て「招待作品」。久保純夫は毎号ものすごい多作。いつまでも櫻透けゆく少年よ 久保純夫白牡丹夢のつづきを囁かれ胎内のいずこに枝垂櫻かな身のうちに痺れしところ夕櫻能面は落葉にまみれ易きかな 曾根 毅独裁者の不安田作五万匹 木村オサム河豚食うて以来ふたりのあいまいに...
View Article「円座」2014年2月号
「円座」(発行:武藤紀子、編集:中田剛・小川もも子)2014年2月号から。 特集は曽根京子句集「春月」。大石に冬の匂ひのありにけり 武藤紀子首塚は落葉に埋もれつつありぬ 中田 剛ノリタケの六本煙突蔦紅葉 近藤茂子乗り継ぎのフランクフルト聖夜更く 鈴木滋三*****************************************************Haydn Oboe...
View Article「遊牧」2014年2月号
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2014年2月号から。人赦すべしかいつぶり潜るべし 塩野谷仁存分に酸素存分に寒の星けあらしや落胤美童は岩影に 大畑 等うたまろの気でいる枕屏風展 菊地京子霧よりも薄き欠伸をして真顔 茂里美絵キリストにどのセーターの似合うかな 吉野 精ハーレーの消えたるあとの石蕗の花 黒田 崖秋蝶の残像として神武陵...
View Article「里」2014年2月号
「里」(発行:島田牙城、編集:仲寒蝉)2014年2月号から。雑煮椀ふるびてよりの温かさ 登貴寒鴉猫の死骸を奪ひ合ふ 関谷なでし子雪踏めば鳴る休館の美術館 海野良子ジングルベルいつよりか消え昭和消え 谷口純子青邨忌かつぱえびせん床に散り 狼耳できたての氷柱いまインドのかたち 月野ぽぽな極上の風花を生む峠かな 仲 寒蝉一言で言へねばそこは芒原 男波弘志(「俳諧風俗陳列棚...
View Article「秋草」2014年2月号
「秋草」(発行編集:山口昭男)2014年2月号から。立冬や殻うつくしき蝸牛 山口昭男冬の蝶恋の話をするならば荒縄のとぐろ巻きたる冬構 宗方やよい靴底にどんぐり恋のごとく踏む 市川薹子やじろべえあちこち向いて冬に入る 高井楚良湯豆腐や一本締の聞え来る みなみ里奈*****************************************************振動の世界
View Article「陸」2014年2月号
「陸」(発行:中村和弘)2014年2月号から。万年床奥に見えたり初芝居 中村和弘大寒の馬の毛を抜く鴉かな液状化に出会ひ蟋蟀鳴きやみぬ 町山直由幾多郎像眼鏡歪みて冬ぬくし 山本一糸幸福に爪の光つてゐる狐 大石雄鬼国会はまれに爆笑けむり茸 村山安子人台の胸の膨らみ冬の鵙 永井アイ子脳の模型汚れてをりぬ文化の日...
View Article「小熊座」2014年2月号
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2014年2月号から。 高野ムツオ氏は先頃、句集『萬の翅』で今年の読売文学賞を受賞。おめでとうございます。冬に入る笹蒲鉾の弾力も 高野ムツオ臍の緒を辿るが如し枯野道噴煙を天柱として十二月お辞儀するまぼろしの象クリスマス 腰高飛騨男少年とネギをユリ科と思ひけり 増田陽一魚にも乳房が欲しい六林男の忌 佐々木とみ子遺体数うごとくに雪の燃料棒...
View Article栃本泰雄歌集『レギオン』
2014年七月堂 栃本泰雄氏から歌集『レギオン』が届いた。 短歌98首、俳句2句の100作品を収録。 聖書や象徴派詩人のモチーフが変わらず多い。高熱のわが額(ぬか)に触れひたひたと水の上(へ)をゆくイエスの蹠(あうら)接骨木(にはとこ)の咲くその横に案内図「攝津接骨院はこの奥」...
View Article「連衆」No.67(2014年2月)
「連衆」(編集:谷口慎也)No.67(2014年2月)から。 巻頭言は「主流」代表・田中陽。 《先ごろ逝った詩人で作家の辻井喬氏は「短歌や俳句が知性を獲得すれば、日本の文学全体が変わるであろう」という意見を述べたことがある。》 これはどこでどういう文脈で出てきた言葉なのだろう。 他に谷口慎也の「高橋修宏の世界」他を掲載。火事舐める千の椿の舌の音...
View Article「堊」2014年2月号
「堊」(発行:高石直幸)2014年2月号から。青眼の少女に渡す龍の玉 高石直幸底冷や奈良の要は東大寺 西野陽子(特別作品)水覚めて木々よくねむる師走かな 大隈チサ子階段を影より上る寒さかな 原 桐子神主の烏帽子の動く師走かな 加藤田廣子*****************************************************BELLA FIGURA, Jiri...
View Article「麻」2013年12月号
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2013年12月号から。尾鰭の根からぶち切られ本鮪 嶋田麻紀銀髪のまとふ光や冬至梅 松浦敬親冷まじや仔牛の脳の離乳食 岡田久慧窓小さき昭和のビルや夜業の灯 島田楷人終と思ふ同窓会へ冬立てば 城谷登美*****************************************************Haydn: The seven...
View Article「麻」2014年1月号
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2014年1月号から。人日のはや句座にある紙の白 嶋田麻紀戦艦の沈む海から野分かな 鈴木了斎猫百匹飼へば百の死星月夜 岡田久慧 *****************************************************Brahms Piano concerto N° 2 (Barenboim - Celibidache)
View Article「白茅」第3号(2013年冬)
「白茅」(代表:中田剛)第3号(2013年冬)から。 招待作家作品に竹中宏、渡辺松男(句・歌両方)。 特別作品に中田剛、坂内文應、石田郷子、千葉皓史、中村雅樹、光森裕樹(短歌)、武藤紀子、吉川宏志(短歌)。 随筆に須永朝彦、他。ワクワクと啼きかなしげに莢豌豆 竹中宏蛾となりゆく山繭や讐(あた)でない罰生前へ空港尽きて芒原 渡辺松男秋の夜も黒髪そだつ胎(はら)の中...
View Article「都市」2014年2月号
「都市」(発行編集:中西夕紀)2014年2月号から。 《昭和二〇年代に亡くなった人で(中略)俳人にその死が一番衝撃を与え、多くの俳句が詠まれたのは、実は俳人ではなく、スターリンと齋藤茂吉でした。》...
View Article【告知】第4回芝不器男俳句新人賞公開選考会(手伝い募集)
来たる3月11日午後4時、いよいよ第4回芝不器男俳句新人賞公開選考会が行われます。 場所は産業技術大学院大学講堂(JRでは大井町が最寄駅)。 当日、受付その他を手伝える方は私にご連絡ください。 当日は俳句4誌の編集長他、来客多数の予定。俳人ことに若い人はいろいろな人と会う好機です。是非ご来場を。入場無料です。...
View Article「俳句新空間」No.1(2014年2月)
「俳句新空間」(発行:北川美美・筑紫磐井)No.1(2014年2月)というのが出た。 ウェブマガジン「blog俳句空間」を紙の冊子にまとめたもので、中味は去年からずっと寄稿を募り続けて興行していた俳句帖(歳旦帖、春興帖、花鳥篇、夏興帖、秋興帖、冬興帖)と、二十四節季題詠句である。私も何句か供出している。...
View Article「鷹」2014年3月号
「鷹」(発行:小川軽舟)2014年3月号から。 黒澤あき緒による俳句時評が御中虫『関揺れる』を取り上げていた。震災からもうじき丸三年だが、最近ご覧になったらしい。 「晴子百句」の連載を終えた奥坂まやによる飯島晴子総論「ひとりの修羅」等掲載。鯉割きて鯉真紅なり寒の入 小川軽舟オルガンの鍵盤堅し冬木の芽寒卵置くや分母は線の下 細谷ふみを海原は覇者のしづけさ寒夕焼...
View Article「青群」第31号(2014年春)
「青群」(発行:伊丹啓子、編集:伊丹啓子・小嶋良之・政成一行)第31号(2014年春)から。 「青群七周年の集い&『続・伊丹三樹彦全句集』『伊丹公子全句集』出版記念会」と小特集「伊丹啓子第二句集『神保町発』」が組まれている。 『神保町発』は献本頂いて拝読したのだが何も書けていない。申し訳ないことである。神保町自体は学生の頃、帰路に散々はまり込んだのだが。 杖つく日つかぬ日 口笛の生身魂...
View Article【告知】「俳句」2014年1,2,3月号他
最近出たものの告知を少し。 角川「俳句」1月号の書評欄に柿本多映句集『仮生』評として「生死の間の駅のように」、同2月号の作品21句欄に「平穏」、同3月号の「特別企画―東日本大震災から三年」中、「13人の提言―ここからはじまる俳句」のコーナーに「引き裂かれながら愉しく飛ぶ」という一文が掲載されています。...
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